公開日:2021年04月22日
最終更新日:2022年01月24日
YouTubeやTikTokなど動画プラットフォームが普及する今、マーケティング施策の1つとして注目度が高まっているのが動画広告です。
動画広告は難易度が高いというイメージを持つ方も多いかもしれませんが、コツをつかんで制作・運用することで大きな費用対効果を期待できます。そこで本記事では、動画広告のトレンドやメリット、種類、制作方法まで詳しくご紹介します。
動画広告の中でも代表的なプラットフォームである『YouTube広告』の概要については以下の記事で解説しているのでご確認ください。
目次
動画広告とは、動画を活用してユーザーに情報を届ける広告手段のことです。代表的なものとして、YoutubeやTiktok等のSNSで動画を視聴する際に表示される広告や、Webサイトの広告枠に掲載されている動画等があてはまります。画像やテキストのみの広告と比べて多くの情報を伝えることができ、印象にも残りやすいため、近年動画広告の市場は右肩上がりで伸長しています。
近年のスマートフォンやSNSの普及により、ユーザーは場所や時間にとらわれず気軽に動画に触れられるようになりました。 さらに2020年からの新型コロナウイルス流行によって、外出せずに家で過ごす「巣ごもり需要」が高まり、YouTubeや動画配信サービスなどのプラットフォームが急成長しています。
株式会社サイバーエージェントが2020年10月~12月に実施した調査によると、2020年の動画広告市場は昨年対比114%の2,954億円の見込みで、今後数年間も右肩上がりで伸長していくと予想されています。デバイス別では特にスマートフォンが大部分を占めており、スマートフォンユーザーが動画広告市場の需要拡大に大きく貢献していることが分かります。
参照:株式会社サイバーエージェント『サイバーエージェント、2020年国内動画広告の市場調査を発表』
また、株式会社デジタルインファクトが2019年10月~11月に実施した調査によると、前年と比較して動画広告予算が「増える」予定だと回答した企業は、前年比2.8%増の61.1%でした。これは、動画広告の効果を認知し、予算を投資する企業が増えているためだと言えるでしょう。
参照:株式会社デジタルインファクト『動画広告の動向分析調査を実施しました』
実際、新型コロナウイルスの影響により、YouTubeを始めとする動画プラットフォームのユーザー数は急速に増加しました。 YouTubeは2020年9月時点で月間利用者数が6,500万人を超えています。 【2021年最新版】SNS利用者数と各媒体の特徴まとめ
有料動画配信サービスの利用率についても、2019年は17.2%、2020年は21.5%と右肩上がりで拡大しており、特にAmazonプライム・ビデオ、Netflix、U-NEXTの利用率が大きく伸長しています。
参照:インプレス総合研究所『動画配信ビジネス調査報告書2020』
動画広告市場の拡大には、スマートフォンやSNSの普及、新型コロナウイルスの流行などさまざまな背景があります。ここでは、動画広告市場の拡大をさらに後押ししている、動画関連領域の最新のトレンドを2つご紹介します。
5Gとは「第5世代移動通信システム(5th Generation)」を意味しています。各大手キャリアでは2020年3月から提供開始されています。
5Gの最大の特徴は高速・大容量であることです。4Gの20~100倍程度の通信速度となるため、データ量の多いコンテンツでもストレスなく快適に楽しむことができます。
5Gの登場により、通信制限になったりバッテリーに負荷がかかったりするといったトラブルがなくなり、さらには高画質なライブ配信も視聴することができます。ユーザーが動画コンテンツに触れる機会がより多くなると予想できるので、同時に動画広告の影響力も拡大するでしょう。
10~20代の若年層を中心に、950万人(2018年時点)の月間アクティブユーザーを持つTikTokは、スマートフォンの画面サイズに合わせた縦型動画、15秒から最長60秒の短尺動画であることが特徴です。
近年のTikTokの流行に対抗して、各SNSプラットフォームでもTikTokに類似した機能が登場しました。例えば、Instagramには15秒から最長30秒の動画を編集・投稿できる「Reel(リール)」、YouTubeには最長15秒の動画を編集・投稿できる「YouTube ショート」が搭載されました。
参照:Instagram Businessブログ『Instagramの新機能「リール」』 参照:YouTube ヘルプ『YouTube ショートの利用を開始する』
縦型短尺動画はスマートフォンユーザーにとって視聴しやすく、特にファッションやダンスなど全身を映すようなコンテンツと親和性が高いです。
静止画の広告と異なり、動画広告には動きがあり音声もついているので、イメージとして印象に残りやすいです。イメージで伝えることができれば、子どもにもお年寄りにも言語の異なるユーザーにも、年齢・言語に関わらず多くのユーザーに短時間でメッセージを理解してもらうことが可能です。
複雑な内容でもストーリーを工夫することで、ユーザーにとって理解しやすく、受け入れやすい動画となります。
静止画の広告の場合、1つの静止画内の素材とテキストによって伝えられる情報は限られています。一方、動画広告は映像で訴求するためシーンの移り変わりがあり、さらに音声が加わることで一度に多くの情報を伝えることができます。 人物が登場する動画であれば、表情や声のトーン・口調などより細かな部分も表現できます。
動画広告では、コンセプトやストーリー設計を作りこむことで他にはない独自性の高いコンテンツを作ることが可能です。たとえ広告でも、ユーザーが「面白い」「ためになった」と感じる動画であればSNS上で自然に拡散されます。SNS上でポジティブに拡散されることで、企業・ブランドの話題性が高まるだけでなく、広告費以上の効果を得ることに繋がります。
ヨーロッパのアドテクノロジー企業Adform社の調査レポートによると、一般的なバナー広告のクリック率は0.11%であるのに対し、動画バナー広告のクリック率は0.42%となっています。
参照:Adform社『Digital Advertising Benchmark Report – 1HY 2015』
このレポートから、動画広告は静止画広告と比較して印象に残り認知に繋がりやすいだけではなく、ユーザーの興味喚起を促してクリックしてもらうことで、商品購入に近づけることも可能だと分かります。
動画広告は、YouTubeやFacebook、Instagram、Twitter、LINE、TikTokなどのSNSやYahoo!ディスプレイ広告など、さまざまな媒体で配信することができます。媒体によってもフォーマットが異なり、細かく分けると多くの種類がありますが、ここでは代表的な4種類をご紹介します。
インストリーム広告は、プラットフォーム内で動画の再生前後、または動画の途中で流れる広告で、動画広告の中で最も利用されている種類です。インストリーム広告の中でも、大きく以下の3種類があります。
インストリーム広告は動画コンテンツ内で流れ、媒体によってはスキップできない設定にすることもできるため、完全視聴率は比較的高くなるのが特徴です。
インバナー広告は、Yahoo!などのプラットフォームのディスプレイ広告枠に配信される動画広告で、インディスプレイ広告とも呼ばれます。動画の音声はデフォルトでオフとなっています。
動画サービスのコンテンツ内に表示されるインストリーム広告と対象に、ウェブサイトやアプリのコンテンツ外に表示される「アウトストリーム広告」の一種です。
メインコンテンツ外の広告枠に配信されるため、ユーザーからは受け入れられにくく、必ず視聴されるとは限りません。一方で、動画サービスを利用しないユーザーにも表示できたり、通常のディスプレイ広告と同様にターゲティングができたりするというメリットがあります。
インリード広告は、Webページ内のコンテンツとコンテンツの間に表示され、ユーザーがページをスクロールして動画が画面に表示されると再生されます。インバナー広告と同じく、アウトストリーム広告の一種です。
類似する言葉に「インフィード広告」や「インスクロール広告」がありますが、インフィード広告はコンテンツ間に配信される静止画広告の意味で利用されることが多く、インスクロール広告はスクロールを伴う広告として広義で使われることが多いです。
インバナー広告の場合、広告枠が画面に表示されていない状態でも動画が再生開始されてしまいますが、インリード広告の場合は広告枠が画面に表示されたタイミングで再生開始されるので、動画の最初から視聴してもらうことが可能です。また、メインコンテンツと同じサイズで表示されるため視認性が高いのも特徴です。
オーバーレイ広告は、画面上に覆いかぶさるようにして表示される広告です。アニメーション技術を使って動きのある広告を表示できるので、ユーザーの興味を引きやすいのが特徴ですが、あまりに過剰な演出をするとユーザビリティが低下し、広告主のイメージダウンにも繋がってしまうので注意してください。
オーバーレイ広告には以下の3種類があります。
Googleによると、過剰なオーバーレイ広告が表示されていてユーザーがコンテンツに簡単にアクセスできないようなページは、Googleから低く評価される可能性があるようです。(Googleウェブマスター向け公式ブログ『モバイル ユーザーが簡単にコンテンツにアクセスできるようにするために』)広告主側の都合ではなくユーザー側の見やすさ・使いやすさを重視することで、Googleからの評価が高まるとともに、ユーザビリティを向上させることができるでしょう。
動画広告の課金システムは媒体ごとに異なります。多くの広告が入札される中でどれが表示されるかは広告オークションによって決定され、入札方式や入札単価、ターゲット、キーワードなどによっても変動します。そのため、動画広告の相場は一概には述べられませんが、媒体ごとの特徴をしっかり理解して予算を設定しましょう。
動画広告の課金方式には主に以下の3種類があります。
CPMは「Cost Per Mille」の略で、広告が1,000回表示されるごとに課金される方式です。広告の表示回数を最大化させる課金方式であるため、多くのユーザーにリーチでき、企業や商品の認知拡大に効果的です。一方で、視聴時間が短かった場合や成果に繋がらなかった場合も課金されるので注意が必要です。
CPCは「Cost Per Click」の略で、広告がクリックされるごとに課金される方式です。動画広告では、動画が再生開始されたタイミングで課金されます。動画広告をクリックしたユーザー、つまり商品に興味を持っているユーザーにのみ課金されるので、比較的高い費用対効果を期待できます。
CPVは「Cost Per View」の略で、動画広告が一定時間再生されると課金される方式です。CPM課金やCPC課金は静止画広告でも利用されますが、このCPV課金は動画広告のみの課金方式です。また特に、動画が最後まで完全に視聴されると課金される方式はCPCV(Cost Per Completed View)課金と呼ばれます。
課金対象となる再生時間は媒体ごとに異なり、例えばYouTubeでは30秒間(30秒未満の動画広告では最後まで)、Facebookでは15秒間(15秒未満の動画広告では最後まで)となっています。
参照:Google 広告ヘルプ『動画広告フォーマットの概要』 参照:Facebook Businessヘルプセンター『動画広告の入札タイプについて』
動画を一定期間視聴したユーザーは商品への関心も高いと考えられるので、費用対効果は比較的高くなります。
配信する媒体によって動画広告の課金方式は異なります。ここでは、よく利用される広告プラットフォームごとに動画広告の課金方式をまとめました。課金方式により費用対効果などが異なるので、配信前にしっかり確認しておきましょう。
各SNS広告の課金方式については、以下の記事でもご紹介しています。 Twitter広告:Twitter広告の費用はいくらかかる?費用対効果を高めるポイントもご紹介 Facebook広告:Facebook広告はいくらかかる?料金決定の仕組みと予算設定のポイントを解説 LINE広告:LINE広告の費用の目安は?料金決定の仕組みから予算設定のコツまで
動画コンテンツでは、最初の5秒間が最も重要だと言われています。最初に興味を持ってもらえなければすぐにスキップされてしまいます。逆に、印象的な始まりで続きが見たくなり、動画広告を最後まで見てしまったという経験がある方も多いのではないでしょうか。
起承転結に沿ってストーリーを組み立てた方が効果的な場合もありますが、多くの場合、最初にインパクトのある映像やフレーズを見せて「続きが気になる!」と思わせることで離脱を防げます。 また、冒頭しか見られないという前提のもと、一番伝えたいメッセージを最初に持ってくるのも効果的です。
SNSの動画を音声なしで閲覧している人も多いので、動画内の文字情報は非常に重要です。テロップを入れることで、音声あり・なしに関わらず分かりやすい動画広告になります。
一般的に、人間が2〜3秒間で認識できる文字数は13文字〜20文字だと言われています。ユーザーに伝わりやすいよう、要点をまとめて文章を短くしたり、数回に分けて表示したりするとよいでしょう。また、読みやすくするために、文字の配置や色、フォントも工夫してみてください。
既に述べたように、動画広告のメリットの一つは「情報量が多い」ことです。動きや音声があり、人の表情や声のトーン・口調までも動画の要素となっているため、動画の作り方次第で多くの情報を含めることが可能です。
しかし、情報を詰め込み過ぎると結局何を伝えたい動画広告なのか分からなくなり、ユーザーの行動に結びつかなくなってしまいます。まずは動画広告の目的を明確にし、認知拡大であれば商品の名前を覚えてもらえる動画にする、購買意欲の向上であればインフルエンサーに商品を利用してもらい魅力を伝えるなど、目的に沿った動画にしましょう。
https://www.microsoft.com/ja-jp/p/microsoft-フォト/9wzdncrfjbh4
Windows10に標準搭載されているアプリで、選択した写真や動画から簡単に動画を作成することができます。音楽を入れたり、動画の一部をスローモーションにしたり、3Dアニメーション画像を追加したりとさまざまな機能が使えます。
https://www.apple.com/jp/imovie/
iOSとmacOSに標準装備されているアプリです。写真や動画を取り込んで、シーンの切り替え、BGMの挿入、フィルタやエフェクトの追加などを行うことで、iPhone上でも高いクオリティの動画を作成することができます。4Kビデオにも対応しており、映画のような高画質な動画を作成できるのも特徴です。
https://www.openshot.org/ja/
Windows、macOS、Linuxに対応したオープンソースの動画編集ソフトです。動画や画像、音楽を取り込み、動画を切り取ったり繋いだり、エフェクトを追加したり、3Dアニメーション画像を追加したりと簡単な編集が可能です。
ハードルが高いと感じる方も多い動画広告ですが、最近では簡単に動画編集ができるツールも多くあり、初心者でも始めやすい施策となりました。コツを理解してユーザーに受け入れられやすい動画を作成し、高い費用対効果を目指しましょう。
フルスピードでは、YouTubeの利用状況や動画視聴後のユーザー行動について独自にアンケートを実施しました。ユーザーの行動を知ることで効果的なコンテンツ作成・運用に繋がります。企業のYouTube運用のヒントが詰まっていますのでぜひご覧ください。
松崎 明日香
マーケティング部
2020年に新卒入社後、オウンドメディア『GrowthSeed』の運営/ライティングを中心に、メルマガ運用、広告運用など自社のマーケティング業務に幅広く携わる。お問い合わせ数・売上アップを目標に日々奮闘中。趣味は喫茶店・カレー屋巡り。
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