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ステルスマーケティングとは?事例や対策方法を紹介

公開日:2021年09月29日

最終更新日:2024年08月08日

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ステルスマーケティングとは?事例や対策方法を紹介

SNSを活用してマーケティングを行う企業が増える中「ステルスマーケティング」という言葉がよく聞かれるようになりましたが、その意味を正しく理解できていますでしょうか?

本記事では、ステルスマーケティングの意味や違法性、事例、対策方法などを解説します。ユーザーのWebリテラシーが高まる今、企業はさまざまなリスクに対処しながらマーケティング施策を実施する必要があります。

ステルスマーケティングとは

ステルスマーケティング(ステマ)とは、企業から報酬が発生していることを隠して、あたかも自主的・中立的に発信しているように見せかけてブランドや商品の宣伝をすることです。「やらせ」「サクラ」などとも言われます。(2023年10月からステルスマーケティング規制が日本でも施行されています。)

芸能人やインフルエンサーが、企業との関係性を明示せずにSNSやブログで商品を紹介したり、社員であることを隠して自社商品のレビューを口コミサイトに書き込んだりする行為がステルスマーケティングにあたります。

一般ユーザーやインフルエンサーの口コミは信頼性が高く大きな影響力があると言われており、口コミを利用して認知を広げる「バイラルマーケティング」は効果的なマーケティング施策の一つです。ただし、一歩間違えるとステルスマーケティングとなってしまうので注意が必要です。

日本においてステルスマーケティングは、2012年に発覚した「ペニーオークション詐欺事件」で注目されるようになりました。この事件は、オークション運営側が手数料を高く取る詐欺を行っていた上、複数の芸能人がサービスを利用していないにも関わらず「格安で落札できた」などとブログで投稿していたというものです。

そして、近年のSNSの普及に伴い、企業が自社アカウントやインフルエンサーを通して情報発信を行う機会が増え、ステルスマーケティングはさらに問題視されるようになってきています。

ステルスマーケティングの3つのリスク

ステルスマーケティングが発覚した場合、以下のようなリスクがあります。

企業・ブランドの信頼が失われる

企業側が作為的または虚偽の情報を発信したことで、ユーザーは「騙された」と感じ、その企業からの情報を信頼できなくなってしまいます。商品やサービスを利用したユーザーはもちろん、世間全体からの信用を失い、売上減少にも繋がりかねません。一度失った信頼はすぐには取り戻すことができないでしょう。

炎上に繋がりやすい

特に炎上を引き起こしやすいのが、拡散性・匿名性の高いTwitterです。ステルスマーケティングを行っていたことがツイートによって拡散されたり、自社のアカウントに批判的なコメントが書き込まれたりすることで多くの人に知られ、ブランドネームが傷つけられると共に業界全体の信頼性にも影響してしまいます。

ペナルティを受ける場合がある

現在日本には、ステルスマーケティングを取り締まる正式な法律はありません。ただし、商品を実際より優れているように表現することを禁止する「景品表示法」に違反する可能性があります。違反行為が認められると「措置命令」が出され、ペナルティを受ける場合もあります。

参照:消費者庁『景品表示法違反行為を行った場合はどうなるのでしょうか?』

ステルスマーケティングに関する法規制

先述したように、現在の日本にはステルスマーケティングを明確に取り締まる法律などはありません。一方、アメリカやイギリスなど海外ではステルスマーケティング排除への取り組みが進んでいます。

アメリカでは2009年に連邦取引委員会(Federal Trade Commission:FTC)によって「広告における推奨及び証言の利用に関する指針」が改定され、インフルエンサーと広告主の間に金銭の授受があれば公表することが義務とされました。

イギリスでは2008年に「不公正取引からの消費者保護に関する規制法」が制定され、アメリカと同様に金銭の受け取りを隠したPRが禁止されると共に、企業側が消費者になりすまして口コミなどを行うことも取り締まられています。

日本では、ステルスマーケティングは明確には法律違反とならないものの、「景品表示法」の違反となる可能性が大きいです。消費者庁は2012年に「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」を改正しました。このガイドラインでは、企業が第3者に依頼して実際より優良だと誤認される口コミを掲載した場合は、景品表示法上の不当表示に値するとされています。

また「不正競争防止法」「軽犯罪法」「薬機法」などに抵触する可能性もあります。

参照:消費者庁『景品表示法関係ガイドライン等』

ステルスマーケティングでよくある4つのパターン

宣伝であることを明示せず商品を紹介する

最も多く見られるパターンです。SNSや個人ブログなどで、企業との金銭関係を隠して商品を紹介するケースです。

最近では、インフルエンサーが消費者の購買行動や意思決定に大きな影響を与えるようになり、特にInstagramやYouTubeで企業とインフルエンサーがコラボする事例が多く見られます。インフルエンサーによるステルスマーケティングが発生した場合、企業はもちろんですが、商品を紹介したインフルエンサーも社会からの信用を失ってしまうことになります。

レビュー投稿サイトに良い口コミを書いてもらう

企業から消費者にお金を支払い、企業との関係性を隠して良い口コミを書いてもらう手法です。レビュー投稿サイトは通常、消費者のリアルな意見によって成り立っており、商品・サービスの比較検討の際に参考にする消費者が多いです。「自分と同じ消費者の生の声だから信頼できる」という消費者心理を悪用しています。

事例として、2012年に起こった、飲食店の口コミ投稿サイト「食べログ」での事件が話題となりました。お店の評価やランキングを上げるために業者に金銭を支払って高評価の口コミを投稿していたというものです。
ステルスマーケティングを取り締まるには、プラットフォーム側の管理体制も重要です。

専門家やファンになりすまして自社商品をレビューする

社員が一般ユーザーや権威性のある専門家になりすまして、自社の商品をSNSや口コミサイト等で紹介する手法です。

有名な事例として、2001年にアメリカで発覚した「デビッド・マニング」事件があります。デビッド・マニングとはソニー・ピクチャーズが作り出した架空の映画評論家です。2000年ごろから、ソニー社員がデビッド・マニングとして週刊誌に映画の推薦コメントを掲載していました。
権威性を使って消費者をだます、非常に悪質な行為だと言えます。

SNS上で競合企業をバッシングする

SNS上で社員であることを隠して競合企業をバッシングし、自社の商品がより優れていると見せかけるケースも、ステルスマーケティングにあたります。実名が分からないSNSの特性を悪用したものです。

しかし、匿名性があるSNSでも、IPアドレスなどから組織や個人を特定できる場合があり、必ずしも隠し通せるとは限りません。

ステルスマーケティングの4つの対策方法

PR案件であることを明示する

企業がインフルエンサーに報酬を支払い、商品を紹介してもらうこと自体は問題ではありません。その際に関係性を明記しなかった場合にステルスマーケティングとなります。

商品を紹介する投稿や記事に「#PR」「#タイアップ」といった文言を必ず記載し、企業とインフルエンサーとの関係性を明確にしましょう。

クチコミに関するマーケティングの研究や啓発を行うWOMマーケティング協議会のガイドラインでは、WOMマーケティングを目的とした金銭・物品の提供が行われる場合、関係性の明示が必要だと示した上で、便益タグの例を以下のように定めています。

便益タグ金銭ありの場合物品・サービス提供のみの場合
#Promotion
#プロモーション
#Sponsored
#スポンサード
#Supported
#サポーテッド
#Ambassador
#アンバサダー
#協賛
#提供
#タイアップ
#PR
#物品提供
#サービス提供
#プレゼント企画
#プレゼントキャンペーン
#モニター
#モニター・プレゼント
#献本
不可

参照:WOMマーケティング協議会『WOMJガイドライン』

インフルエンサーと意思疎通を図る

インフルエンサーにPRを依頼する場合、しっかりとコミュニケーションをとり、認識をすり合わせることが重要です。意思疎通が図れていなければ、企業が意図しなくてもステルスマーケティングに繋がってしまうかもしれません。

施策を通してどのようなブランドメッセージを伝えたいか、どのような目標を達成したいのかを理解してもらった上で、関係性を明示する必要があることも確認しておきましょう。

社内でSNS運用のルールを作る

誰でもSNSを利用して情報収集・発信できるようになった今、SNSが思わぬ形でステルスマーケティングや炎上に繋がってしまうこともあります。企業公式アカウントや社員の個人アカウントにおける運用ルールを定め、社内でのSNSリテラシーを高めると共に、管理体制を整備しておくことが必要です。

景表法など表現方法を理解する

先述したように、ステルスマーケティングを防ぐために注意しておきたいのが景表法などの広告表現に関する法律です。指摘された場合、たとえ知らなかったとしても許されるものではありません。広告やサイト運営、SNS運用などプロモーションに携わる部署ではしっかりと教育体制を作り、事実と異なったり他人を傷つけたりする表現になっていないか、常にチェックしましょう。

リスクを防ぎ正しいマーケティングを

透明性のあるマーケティングを行い消費者からの信頼を得ることで、長期的には認知拡大や売上アップに繋がります。正しい形で口コミやインフルエンサーマーケティングを活用し、成果を高めていきましょう。

この記事を書いた人
松崎 明日香

松崎 明日香

マーケティング部

2020年に新卒入社後、オウンドメディア『GrowthSeed』の運営/ライティングを中心に、メルマガ運用、広告運用など自社のマーケティング業務に幅広く携わる。お問い合わせ数・売上アップを目標に日々奮闘中。趣味は喫茶店・カレー屋巡り。

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