公開日:2021年04月23日
最終更新日:2021年05月12日
目次
2020年に総務省が発信した「モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン」にNTTドコモ、KDDI、ソフトバンク各社が応じた形で発表された新しい携帯電話ブランドまたは新料金プランの3つです。ahamoは2020年12月3日にNTTドコモから発表された「新料金プラン」で、月間20GBのデータ容量で月額2,970円(税込)詳しくはコチラLINEMOはそのあとを追って、2020年12月18日に発表。こちらも月間20GBのデータ容量で月額2,728円(税込)詳しくはコチラpovoは2021年1月13日に発表と前2社からは時間が少し空いた形で発表。月間20GBのデータ容量も同じで月額2,728円(税込)詳しくはコチラ3社ほぼ横並びの新プランあるいは新ブランドの発表となっています。さて、それぞれの発表から時間がたち、実際にサービスがスタートし始めた2021年4月現時点で、各ブランドはSEO視点でみるとどうなっているのか、Ahrefsを使って調べてみました。
2021年4月12日現在、各社のオフィシャルドメインをSEOツールのAhrefsで調査してみた結果が以下になります。
表A
Ahrefsによるドメインパワー評価を示すDomain Ratingはpovoが頭一つ抜けています。被ドメイン数はahamoが若干多いですが、そこまでの差にはなっていませんでした。流入しているキーワード種類を示すTotal KeyordsではahamoとLINEMOでは近しい数字ですが、povoだけ圧倒的に低くなっています。
しかし、自然検索からの流入についてだけ別グラフにしてみると、もっとも発表が遅かったpovoが頭一つ抜けていました。最大値は月間35,000と、思っていたほどの流入規模ではありません。かなり世間を騒がせたので、もっと10万20万といった単位かと思っていましたが、おそらくダイレクトや記事からの参照流入などのチャネルでは多数流入していることでしょう。しかし、自然検索という意味ではまだそこまでいっていないようです。
全体感を把握したところで、次はさらに掘り下げて、どんなキーワードでの順位があるのか、またどんなコンテンテンツが流入を稼いでいるのかを分析してみます。
表B
表Bを見ると、新ブランド名および親ブランド名での獲得がみられます。しかし、ahomo自体の検索ボリュームがまだ少なく見積もられているせいか、高いトラフィックではないようです。実際のところ日増しで多くなっているはずなので、時間がたつとよりデータが正確になっていくでしょう。
上記はキーワード軸での表でしたが、次はコンテンツ軸で分析したものをお見せします。
表C
表Cを見てみると、1番検索流入を得ているのは、「iPhone11」についてのページで、11というキーワードが最も流入に貢献しており、順位は10位だということが分かります。ページとしては月間1666という流入があるようです。続いてがFAQページで、「ドコモからahamoへ変更する場合、解約金や手数料はかかりますか?」というタイトルの質問とその答えのページでした。キーワードとしては随分と具体的にみえますが、検索ボリュームが大きい「定期契約型総合プラン・割引サービス 解除金/解約料」というのが最も貢献しているようです。
3番目、4番目もそれぞれ機種、ブランド名が続いており、1位のiphone同様、具体的な機種名というのが、プランそのものよりも重要なこととして考えているユーザ多いと推測できます。
5番目以降のページ、キーワードをみると、どういった内容を「既存のドコモユーザー」が気にしているのかが、見えてくるようで面白いです。
表D 流入キーワードから10件抜粋
表を見る限り、キーワード単位でもahamoに比べると流入をある程度獲得していることがわかります。まず1番から3番までをみると、その名前やドメインにも関わらず「ソフトバンク」というブランド名の方がLINEよりも圧倒的に評価対象であるのが特徴的です。また、au mnpという他社ブランドがキーワードとして認識されているのは強いのではないでしょうか。ただし順位ではあまりいい結果ではないようです。
その後に続くのはahamoとは違っていて、LINEMOではeSIM、特にiphoneのeSIMについてのニーズに対してアプローチ出来ているとみられます。機種名はそこまで認識対象ではないですが、コンテンツ軸で分析するとどうなるでしょうか。
表E
こちらでみると1番目は当然として、2番目に来るのが「au mnp」というのは興味深いです。また、7番目にも「ドコモ 解約 日割り」等がランクインしており、他社・他ブランドのユーザーにリーチしていると考えられます。また、iPhoneのeSIMを気にしているユーザー層と、今回の新規ブランドやプランの構造は相性が良いようです。
表F
非常に特徴的な結果として、複数のページで「povo」で獲得していました。このキーワードがahamoもなどと同様にいまいち馴染みのない文字列であるというところが、影響しているのではないでしょうか。ある意味では獲得しやすいと言えます。
表G
つづいてコンテンツ毎に見てみると「au 新プラン」という検索ボリュームが大きいキーワードを複数のページで獲得しています。ある意味一点突破という形で検索流入を獲得できているパターンです。ここでも目についたのは「eSIM」で、検索ボリュームは決して大きくないですが、やはり一定のニーズがあるからこそ上位に出てくるのでしょう。
さて、ここまでahamo povo LINEMO各社のオフィシャルページに流入するキーワードから、動向を探ってみました。しかし各社コンテンツを拡充にはまだ至っていないのか、あまりバリエーションがなく、検索もそこまでは多くありませんでした。
そこで調査範囲を拡大して、ahamo povo LINEMO各オフィシャルページにリンクを貼っている第3者のページを対象に、その第3者ページのなかでも自然検索流入が大きい順番からみて、その中のページに流入するキーワードを調べてみました。
全てを抜き出していると長くなりすぎるので、ざっくりと結果をお伝えすると以下のようになりました。1番手と3番手に上がっていたサイトはともに「格安sim」系で流入を得ていました。2番手サイトは「5g いつから」で、4番手のページで「ドコモ 値下げ」が最も貢献していて、ようやくそれっぽいキーワードが出てきた感じです。5番手サイトでは当然ながら「galaxy s20」ですが、このキーワードはahamoでも上位の流入キーワードであり、同ブランドにとっても重要な機種であることがわかります。
つづいてLINEMOの場合だが、親ブランドやpaypayなどの関連からものを除外した結果、上位5ページのうち3ページが同一サイトのものとなりました。キーワードとしてはやはり「格安sim」を筆頭に「通話sim」「ipad 格安sim」など、今まではMVNOなどの事業社に繋がるものとされていたキーワードを持つサイトからの認知・流入が、今回の新ブランドや新プランにもあてはまっているということです。これは言われていた通り、既存の格安系で売っていた通信事業者にとっては厳しい状況といえるでしょう。3番手のサイトは異色で「スタホ4」などのブランドネームでの流入が大半です。どうやらキャリア決済を使用しているユーザーに向けて、それらが新ブランドや新プランへの転向でどうなるか、というFAQなどの流れで被リンクがあるようです。4番手のニュース記事では「ソフトバンク新プラン」での流入がトップでした。季節性があるというか、しばらくすれば「新」ではなくなりますが、定着までのしばらくは流入を稼ぐでしょう。
表J
最後にpovoへの被リンクからの分析です。やはり1番手2番手、5番手と3つほどLINEMOと同様のサイトがあり、ページとしても同様の「格安sim」「通話sim」「ipad sim」は3大simキーワードなのでしょうか。また、3番手にLINEMO同様にスタホ4のサイトが浮かび上がってきました。
ここまでの結果から、オフィシャルページ同士での検索流入だけみると一番人気はpovoがだと言えます。LINEMO、というキーワードはどうにもSEO的にはうまく機能してないようにみえました。これは、もともとLINEモバイルというブランドがあり、低価格での訴求があったことが影響しているのではないでしょうか。ahamoは1番の流入こそ獲得していませんが、独自の機種ブランドによるPRが効いているようです。意図的にドコモを選んでいるユーザー層において価格的な高さ、というのは1番の障害ではないのかもしれないですね。
オフィシャルページ以外での、被リンク元の検索流入規模からの分析としては、既存の「格安sim」というジャンルとの差別化が存在していないようです。実際のところサブブランドなのか、あるいは単に安いだけのプランが新設されたのかなど、なかなか一般消費者目線からすると区別の仕方自体がよくわかりません。
つまり、この結果から見えるのは、各社のオフィシャルページ同士はSEO上における競合とは言えない関係のようです。各々親ブランドあるいは、他社における親ブランドからの移行方法などは最終的には等しく存在するようになるでしょう。一方そこまで具体化していないユーザー層からすれば、その他の「格安SIM」と同等の存在感であるため、それらに特化したメディアやサイトがSEO的には競合あるいは広告出稿などを行うべきターゲットになるでしょう。
GrowthSeed編集部
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