公開日:2020年10月05日
最終更新日:2021年10月07日
2020年9月30日でサービスが終了したキュレーションサイト「NAVER(ネイバー)まとめ」。
今回は、NAVERまとめの歴史をGoogleアルゴリズムと結び付けて振り返るとともに、NAVERまとめへの流入キーワードについて分析してみました。そこから見えてきたNAVERまとめ終了の理由をお伝えします。
目次
2020年7月1日にNAVERまとめ公式ブログ上で、11年間という長きにわたって稼働していたNAVERまとめサービスを終了する旨を発表。サービス終了理由については以下の通り掲載されていました。
”サービス環境・市場環境の変化による単独サービスとしての今後の成長性や、LINEグループ全体での選択と集中の観点などをふまえて検討した結果、今回の決断に至りました。”
そして、発表の通り2020年9月30日にNAVERまとめ公式サイト上にサービス終了を告知する画面に切り替わり、24時間限定の「最後のまとめ」と題して、NAVERまとめ11年の歴史を総括する内容がデータをもとに語られていました。
大幅リニューアルをされたと記されている2011年、この頃からGoogleではパンダアップデートと呼ばれるアップデートが始まりました。パンダアップデートは2011年2月に始まったのが1.0と言われる事がありその後も毎月の様にパンダアップデートは行われているとされていました。
事業化・企業むけ公式まとめがリリースされるなど、便利なだけではなくビジネスとしても頭角を出していた(偉そうにすいません)と思われる2012年、Googleからは次々とアップデートがリリースされました。ベニスアップデート、ペンギンアップデート、パイレーツアップデート、ハミングバードアップデート・・・。これらの愛称で世界のSEOマーケッターから呼ばれるアップデートの数々は、同様の名前、趣旨で複数回行われる事もありました。
月間PV・UBが最高記録(31億PV・7,562万UB)となった2015年は、Googleのアップデートもさらに新しい種類のものがでてきました。パンダアップデートももちろんのこと、RankBrainの導入、クオリティアップデート、モバイルフレンドリー アップデート、インタースティシャルアップデート、HTTPS/SSLアップデートと、これまでのPC主体のインターネットからスマートフォン・モバイルによるインターネットが定着してきたことを明確に意識させるアップデートが行われた年でした。
100%子会社であるネクストライブラリ株式会社へのNAVERまとめ事業の継承が行われた2017年。この年Googleでは日本語検索のアップデートと表されるアップデートがありましたが、これこそが当時NAVERまとめに代表されていたキュレーションサイトをターゲットにしたと言われるアップデートでした。さらにその後その当時問題視されていたインターネット上での病気・疾病などに関する誤った情報に対してのアップデート、通称健康アップデートも行われました。これらの出来事のタイミングを整理すると、日本語検索アップデートがなされたのが2017年2月3日で、NAVERまとめ事業継承は2017年の11月08日、そして健康アップデートは2017年12月06日に実装されました。
NAVERまとめの検索流入はそのアップデートの前後でどのように変化していたのかをAhrefs(https://ahrefs.jp/)を使って振り返ってみました。なお、あくまでもAhrefsによる外部からの分析になるため実測値ではないことをご容赦ください。
下のグラフはNAVERまとめへのを2016年1月1日から2017年12月31日までの検索流入数の推移です。これを見る限りNAVERまとめは2017年には昨対比で圧倒的な検索流入を伸ばしており、一瞬2月に落ち込みをみせるもののその後回復。その後8月ごろからやや流入に下落、変調が起きてはいるが全体としては依然圧倒的な検索流入を得ているのがわかります。
2017年8月の自然検索流入は「2,586,020,458」。桁が多くてよくわからないのですが月間25億という凄い数字ですね。
さて、NAVERまとめの歴史で唯一何も記載が無い年である2018年、ついにGoogleからはコアアルゴリズムアップデート、そしてスピードアップデートが実施されました。この頃からGoogleではアルゴリズムはかつての様に定期的なメンテナンス、という感じらから常時改善が進み、4半期に一度大きなコアアルゴリズムアップデートがなされるような体制に移行していきました。
NAVERまとめでは企業向け機能がリリースされた2019年、Googleでは検索結果の多様性をさらに推し進めるとされるダイバーシティアップデートの実施、そして最先端の自然言語処理BERTアップデートが実施さたといわれています。BERTアップデートにより従来のキーワード対策は陳腐化の一途をたどり、よりユーザにとって意味のあるコンテンツへの評価がされるようになる、いわゆるインテント理解が進むとされています。
そしてNAVERまとめの歴史が終わる2020年、Googleではやはりコアアルゴリズムアップデートが1月、5月など想定される4半期ごとにほぼ予定通りに行われつつ、さらに新型コロナウィルスに対しての対応も同時に進みました。なおコアアルゴリズでの変動が大きいのは常にYMYLと呼ばれる領域が影響を高く受ける傾向がずっと続いており、新型コロナウィルスに関する対応を鑑みても、Googleがいかにユーザの健康や人生を左右しかねないお金に関する情報という点に注力しているかがわかります。
そんな激動の2017年から2020年9月30日その時までの検索流入をAhrefsで振り返ってみました。以下のグラフを見ていただければ一目瞭然ですが、驚くほどわかりやすく右肩下がりの状態でした。この直前である2017年こそがSEO的な視点からでみればNAVERまとめのピークの年であり、やはりキュレーションサイトをターゲットにしたGoogleアップデートや健康アップデートと言われるGoogleのアルゴリズ変更が大きくサイトの趨勢に影響を及ぼしたと言えます。それと同時に事業継承のタイミングももしかしたらこの未来を見据えた非常にスマートな戦略の一貫だったのかなとも邪推できます。
2018年のコアアルゴリズムアップデートは8月1日 2019年のコアアルゴリズムアップデートは3月12日、6月3日、9月24日 2020年のコアアルゴリズムアップデートは1月14日、5月4日、8月11日
検索流入推移を数字で追ってきましたが、ここからは具体的なキーワードについて掘り下げてみます。いったいどんなキーワードで流入を得ていたのか、2020年9月30日時点でのAhrefs調査結果を“まとめ”てみました。
そもそも7,600,000件ものキーワード流入が2020年9月30日時点でも検知できたNAVERまとめなので、TOP10合計でもその内訳としてはわずかですが、NAVERまとめの凄さの片鱗として先ずはまとめてみました。
第1位は意外な、というかあまり意識したことすらないキーワードでしたが「あけましておめでとう いつまで」というキーワードでした。それ以外はいわゆるまとめサイトやウェブ上でのミームなどがランクインしているという結果になりました。 どちらかというと芸能に関連するネタが多いのかなという勝手な思い込みがありましたが、流入数のランクだけみると、どうやらそんなことはなく、まとめサイトをみたい!というもう少し漠然としたインテント、ニーズが強かったようです。
つづいてもAhrefsの機能を使って検索流入が多いコンテンツ単位でのランキングと、その各コンテンツへの流入に最も貢献しているキーワードみてみましょう。
この機能は特定のページごとにどれだけの自然検索流入があるのか、その流入しているキーワード種類はどれくらいあるかを教えてくれるものです。「あけましておめでとう いつまで」などキーワード流入のランクと同じものもありますが、No3の記事が流入しているキーワードの種類数が2,240件と他の記事に比べて10倍ほども多くなっているのが特徴的です。
続いてはNAVERまとめの流入が減少し、サービス終了となった2020年のデータから、もともとはランクインしており、それなりの流入があったのに、順位を失ってしまったキーワードを、失った流入数順にまとめてみました。
という感じでしたが、それぞれ今はどんなサイトが出てくるのか、上の表でNAVERまとめが持っていた順位に2020年10月1日現在でランクインしているサイトを抽出してみました。
No2にあるNaverは韓国本国のサイトが出てくる状態になっていました。その他Lostとなっていたものの最新の状態でNAVERまとめのサイトが再度出てくるものとかも一部ありましたが、全体的にはWikipediaが2件ある以外、バラバラのドメインがランクインしています。
それどころかここで挙げられるサイトはそれぞれに独自性の高いドメインとなっており、これらのキーワードでもNAVERまとめが上位としてランクインしていたということが、今と比較するととても凄い状態だったのだと思わずにはいられません。※一部企業ブログとして不適切と判断したサイト名を伏せております。ご容赦ください。
NAVERまとめがサービス終了した理由としてあがっている市場環境の変化とありました。それは単にNAVERまとめというサイトが終わるべきタイミングだったのでしょうか、それともいわゆるCGM・UGC、キュレーションサイトがもうダメなのでしょうか?
あくまでも個人の感覚ではありますが、まったく同じような、代わりになるサイトは出てこないかもしれません。もちろん今現在もCGM・UGC・キュレーションサイトというサービスに該当するサイトは沢山あります。ただし、かつてのNAVERまとめのようななんでもあり、いわゆるホリゾンタルと最近では呼ばれる水平展開型のキュレーションサイトはなかなか頭角を現すのが難しい状況です。
比較的ホリゾンタルと言えるようなサイトとしては、はてなブックマーク、note.com、Togetterなどが今も人気なものとしては挙げられるのではないでしょうか。とはいえこれのサービスも利用者やターゲット属性にはある程度の特性があるようにも思えます。もちろんこれからの各サービスの拡大によって、よりマジョリティ化していく可能性はあるとは思いますが。
バーティカルと呼ばれる特定のジャンルに寄った形のキュレーションサイトとしては、NewsPicks、RETRIP、北欧、暮らしの道具店などが代表的でしょうか。これらはそもそもサービスの方向性が特定のジャンル、カテゴリ、ターゲットにふりきっており、結果的にユーザの支持ももちろんのこと、SEO的な側面でもよく話題に出るという印象です。
最後に本記事を“まとめ”てみます。
NAVERまとめサービスの自然検索流入推移をAhrefsで振り返ってみると、そのピークは2017年8月にありました。 そのピークを迎えていた2017年、Googleではキュレーションサイト特に日本国内のキュレーションサイトへの影響が大きいアルゴリズムアップデートがありました。また、その年を境にGoogleのアップデートは、技術的、あるいは被リンク対策だけでは太刀打ちしづらくなり、よりコンテンツの”意味”を、コンテンツの”良し悪し”理解するように性能が向上を続けています。
それだけに原因を求めるのは無理がありますが、2018年以降NAVERまとめの自然検索流入は減少の一途をたどっていました。サービス終了をする2020年9月にはピーク時の1/3を割る、月間7億の自然検索流入数にまで下がっていました。 つまり、規模が爆発的に大きいため影響度合いが見えにくかったものの、Googleによるアルゴリズムアップデートがもたらした影響は少なくなかったとみて良いでしょう。
2020年9月の流入数字も単体でみれば決して小さくはありませんが、減少スピードが加速する中、原則としてCGMであるサービスとして新たなまとめ提供者というユーザが増えていかないことには、サービスとしての未来は見えないでしょう。まとめユーザ数推移がわからないので憶測にはなりますが、あるデータによればYoutuberの国内市場推移は2015年比較で14倍以上に膨れ上がると予測されていましたし、実感としてもYoutuberのチャンネル開設数はものすごい勢いでありとあらゆるジャンルに広がっていっていると感じます。
Youtubeだけではなく、前述したnoteやNewspicksなどの形のCGM・UGCサイトや、そもそもTwitterやInstagramなどもあわせて考えると、インターネット上におけるユーザ参加型、というのは特別なモノからごく当たり前の存在に移り変わってきたと言えます。
狙ってか狙わずか、インターネットの面白さや便利さを、アーリーアダプターからマジョリティへの架け橋として機能したと思えるNAVERまとめは、単にアルゴリズムアップデートをうけたからということではなく、日本のインターネットにおけるその役割を全うし、次代へとつなぐあざやかな引き際を見せたのではないでしょうか。
GrowthSeed編集部
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