公開日:2021年03月01日
最終更新日:2022年01月24日
LINE公式アカウントを持っていても、運用する工数が足りず活用できていないという企業や店舗は多いのではないでしょうか。そのような場合におすすめなのがLINEのチャットボット機能です。本記事では、ユーザーとの円滑なコミュニケーションを可能にするLINEのチャットボットの作成・活用方法をご紹介します。
※本記事の情報は2021年3月時点のものです。今後のLINEのアップデートにより、内容が変更される可能性があります。
LINE公式アカウントにはチャットボット以外にもさまざまな機能が搭載されており、マーケティングの目的に応じて使い分けることが重要です。LINE公式アカウントの機能の一つである「リッチメニュー」の活用方法もこちらの記事でまとめていますのでご覧ください。
目次
チャットボットとは、「チャット」とロボットを意味する「ボット」を組み合わせた言葉で、インターネット上でのコミュニケーションを人工知能を用いて自動的に行うプログラムのことです。
LINEだけでなく、FacebookメッセンジャーやTwitterのダイレクトメッセージなど、他のSNS媒体でもチャットボットを利用することができます。また、文字でのコミュニケーションだけでなく、音声でコミュニケーションを図るAmazon EchoやGoogle Homeなどの「AIスピーカー」もチャットボットの一つとされる場合があります。
LINE公式アカウントを運用していても、お問い合わせに対応する人手や時間が足りず、活用できていない企業・店舗もあるでしょう。せっかくのお問い合わせに返信をしなければ、ユーザーはその企業に抱くイメージが悪くなったり、来店を断念したりする可能性があります。チャットボットの利用によりコストをかけずにスムーズに対応できるので、効率化に繋がるとともに機械損失を防ぐことができます。
チャットボットを利用すると、ユーザーからお問い合わせがあった際に見逃すことなく自動ですぐに対応ができます。また、設定によっては営業時間以外でも24時間体制で対応可能です。ユーザーは「店舗・企業からの返事が来ない」「返事が遅い」といったストレスを感じることがなく、満足度や信頼性の向上へと繋がります。
まず、LINEでチャットボットを利用するにはLINE公式アカウントを持っている必要があります。LINE公式アカウントをまだ作成していない場合は、こちらの記事を参考に作成してみてください。
LINEのチャットボットの作成方法には2種類あります。LINE公式アカウントの基本機能を利用する方法と、LINEから出されているAPI「Messaging API」を利用する方法です。ここからは、2種類それぞれの方法でLINEのチャットボットを作成する手順をご説明します。
LINE公式アカウントには、メッセージ配信だけでなくリッチメニューやクーポンなどさまざまな機能が基本機能として搭載されています。
それらの基本機能の中に「あいさつメッセージ」「応答メッセージ」「AI応答メッセージ」の3種類のチャットボットも含まれており、LINE公式アカウントの管理画面から簡単に作成が可能です。Web版・アプリ版のどちらからでも作成できますが、今回はWeb版管理画面での設定方法をご説明します。
あいさつメッセージは、友だち追加してくれたユーザーに対して自動で最初のメッセージを配信する機能です。初回のメッセージは読んでもらえる可能性が非常に高いため、アカウントの紹介やクーポンの配布などをすると効果的です。 鬱陶しさを感じさせないよう情報量を絞りつつ、アカウントのメリットを最大限に伝えられるメッセージにしましょう。
参照:LINE for Businessコラム『LINE公式アカウント|友だち追加後のブロックを防ぐ初回メッセージのコツ』
あいさつメッセージを設定するには、LINE公式アカウント管理画面のホームから「あいさつメッセージ」タブに入り、必要項目を設定します。
参照:LINE for Businessマニュアル『あいさつメッセージを設定する』
テキストだけでなく、スタンプや画像、動画、ボイスメッセージ、クーポン、リッチメッセージなども配信することができます。また「友だちの表示名」を選択すると、メッセージ内で「Nickname」と表示された箇所にユーザー名を可変的に入れることができるので、ユーザーのエンゲージメント向上に繋がります。
応答メッセージは、ユーザーからメッセージが送信された際に、あらかじめ設定したメッセージを自動で返信する機能のことです。キーワードに対してどのようなメッセージを配信するかを設定できるので、「ユーザーは何を知りたくてお問い合わせしてくるのか」といったニーズを想像してキーワードとメッセージを設定しましょう。ユーザーからのメッセージにキーワードが含まれない場合は、キーワード未設定のメッセージの中からランダムに配信されます。
参照:LINE for Businessコラム『LINE公式アカウントの自動応答とは|AI応答メッセージ(シンプルQ&A)の活用法』
応答メッセージを設定するには、LINE公式アカウント管理画面のホームで「自動応答メッセージ」から「応答メッセージ」タブに入り、必要項目を設定します。
参照:LINE for Businessマニュアル『応答メッセージ』
スケジュールとキーワードは任意で設定します。メッセージはテキストだけでなくスタンプや画像、動画、ボイスメッセージ、クーポン、リッチメッセージなども配信可能で、「友だちの表示名」をクリックするとメッセージ内にユーザー名を可変的に加えることができます。
キーワード応答メッセージは活用が難しいですが、「『おすすめ商品』と入力してみてください!」など設定したキーワードの送信をユーザーに促すようなメッセージをあいさつメッセージとして設定しておくと効果的です。
AI応答メッセージは、ユーザーからのメッセージ内容をAIが自動で判別して、あらかじめ設定したメッセージの中から適切なメッセージを配信する機能です。キーワードを設定する必要はなく、「一般的な質問」「基本情報」「業種カテゴリー別」「予約」の4つのカテゴリの質問タイプに対するメッセージを設定できます。
応答メッセージとAI応答メッセージは併用ができないので、どちらを利用するか設定しておく必要があります。まずLINE公式アカウント管理画面のホーム右上の「設定」を選択し「応答設定」タブに入ります。
ここで、「応答モード」を「Bot」にすると応答メッセージが利用できます。ただし、応答メッセージと1対1のチャット機能は併用することができません。
一方「チャット」モードではAI応答メッセージとチャット機能を組み合わせて利用できます。また「応答時間」の設定をオンにすると、応答時間内/応答時間外の応答方法を選択できます。応答時間内では手動のチャットもしくはスマートチャット(AI応答メッセージ+手動のチャットの併用)、応答時間外ではAI応答メッセージもしくは応答メッセージを選択できます。
これらの応答設定が終わったら、管理画面ホームの「AI応答メッセージ(シンプルQ&A)」タブに入り、メッセージ内容の設定を行います。
4つのカテゴリーに応じて質問タイプが用意されており、この質問タイプのどれに当てはまるかをAIが判断して、対応するメッセージを自動で送信します。
メッセージはテキストに加えてスタンプや画像、クーポン、リッチメッセージなども配信可能で、「友だちの表示名」をクリックするとメッセージ内にユーザー名を可変的に加えることができます。
参照:LINE for Businessコラム『LINE公式アカウントの自動応答とは|AI応答メッセージ(シンプルQ&A)の活用法』 参照:LINE for Businessコラム『AI応答メッセージの「シンプルQ&A」を強化!業種ごとによくある質問も応答可能に』 参照:LINE for Businessマニュアル『AI応答メッセージ』
LINE公式アカウントのチャットボットでは、テキストだけでなくさまざまなメッセージタイプを利用することができます。
最もシンプルなメッセージタイプです。テキスト内にはリンクを含めることもできます。
LINE公式アカウントにあらかじめ用意されているLINEキャラクターのスタンプから選択して送信できます。
画像や写真をアップロードし、送信できます。
LINE公式アカウントの管理画面から作成したクーポンを選択し、送信できます。
テキストと画像を1つの吹き出しにまとめ、アクションボタン(リンク)を設置できる機能です。LINE公式アカウントの管理画面から作成したリッチメッセージを選択し、送信できます。
リッチメニューと組み合わせて、友だちとなっているユーザーに有益な情報を提供することで、ブロックを防ぐことができます。 【LINE】リッチメニューを活用してブロックを防ぐ
テキストと動画を1つの吹き出しにまとめ、アクションボタン(リンク)を設置できる機能です。LINE公式アカウントの管理画面から作成したリッチビデオメッセージを選択し、送信できます。
動画をアップロードし、送信できます。
あらかじめ録音したボイスメッセージをアップロードし、送信できます。
LINE上で利用できるアンケート機能です。LINE公式アカウントの管理画面からリサーチページを作成し、送信できます。
テキストや画像、位置情報などさまざまなコンテンツを一つにまとめて配信する機能で、カルーセル形式で表示されます。LINE公式アカウントの管理画面から作成し、送信できます。
APIとは、Application Programming Interface(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)のことを示し、APIを使用することでアプリケーションと外部のプログラムを連携させることができます。LINEが提供しているMessaging APIを使用すると、LINEとその他のプログラムを繋ぐことができ、LINE上でさまざまな追加機能を利用できるようになります。
Messaging APIを利用してLINEのチャットボットを開発すると、ユーザー個人に最適化されたメッセージを配信できるようになり、より高精度なコミュニケーションを自動で行うことができます。
Messaging API自体はLINE公式アカウントを持っていれば無料で利用できますが、メッセージ数はLINE公式アカウントの料金プランによって異なるので注意してください。 LINE公式アカウントの料金プランはこちらの記事内で紹介しているのでご確認ください。 LINE公式アカウントの機能や作成方法、運用のコツまで徹底解説!企業のマーケティングに活用しよう
Messaging APIを利用するには、自分で設定するかもしくは外部に依頼する方法があります。専門知識が必要となるため、エンジニアがいる場合は自社で開発し、いない場合は外部のベンダーに依頼するとよいでしょう。
ここでは、Messaging APIにアクセスするまでの方法をご紹介します。
まず、LINE Developers公式サイトで「コンソール」を選択し、自分のLINEアカウントもしくはLINE公式アカウントでログインします。
ボットやアプリの提供者となるプロバイダーを設定します。プロバイダー名には担当者の名前や企業名を入力してください。
プロバイダーリストから先ほど作成したプロバイダーを選択し、Messaging APIの「チャネル作成する」を選択します。アプリ名やアプリ説明、業種、メールアドレス等の必要事項を入力することでチャネルの作成が完了し、固有のIDが発行されます。このIDを利用してMessaging APIにアクセスします。
その後、サーバーを用意してプログラミングを行い、アプリケーションを作成します。作成したアプリケーションとLINEを連携させてチャットボットの開発は完了です。
Messaging APIを利用したチャットボットの自社開発が難しい場合は、LINE社のテクノロジーパートナーとなっている企業に依頼しましょう。テクノロジーパートナーは、LINE公式アカウントやLINE広告などLINEの商品とAPI関連サービスの連携において、技術支援を行うパートナーです。LINEの定める一定の条件を満たした、高い技術を持つ企業が認定されています。
ベンダーに依頼する場合、「シナリオ型」と「機械学習(AI)型」などの開発方法があります。「シナリオ型」は設定したシナリオ(フローチャート)に基づいて会話が分岐するタイプで、費用は比較的安価に抑えられます。一方「機械学習(AI)型」はデータから学習することにより、個々のメッセージに最適な返信を自動で行うタイプで、高精度ですがその分費用は高くなります。
Messaging APIを利用したチャットボットでは、LINE公式アカウントで作成したチャットボットよりも高度なメッセージタイプを利用できるようになります。ここでは、Messaging APIを利用したチャットボットで送信できるメッセージタイプを詳しくご紹介します。
テキストメッセージには、文字コードを使って絵文字を入れることも可能です。文字コードについて詳しくは絵文字リストをご参照ください。
パッケージIDとスタンプIDをメッセージオブジェクトに含めることで、スタンプを送信することが可能です。スタンプを利用することで表現の幅が広がり、ユーザーに親近感を持ってもらえることが期待できます。 Messaging APIで送信できるスタンプについて詳しくはスタンプリストをご参照ください。
画像のプレビューがトーク画面に表示され、ユーザーが画像をタップことでフルサイズの画像が表示されるしくみとなっています。
プレビュー画像が表示され、ユーザーが画像をタップすると動画が再生されるしくみです。
ファイルのURLと再生時間をメッセージオブジェクトに含めることで音声を送信できます。
位置情報をメッセージとして送るには、タイトル、その地点の住所、緯度・経度の座標をメッセージオブジェクト含めます。ユーザーはマップなどで検索しなくてもお店の位置を確認できるので便利です。
イメージマップメッセージとは、複数のタップ領域を設定した画像からなるメッセージです。画像を4分割し、それぞれの領域にアクションを設定できます。領域をタップすることで、ユーザーはWebサイトに遷移したり、動画を再生したりすることができます。
テンプレートメッセージは、ユーザーが手動でメッセージを入力する必要がなく、1回のタップでアクションを実行し、企業側とコミュニケーションがとれる機能です。以下の4タイプのテンプレートが用意されています。
・ボタンテンプレート
画像やタイトル、テキストに加えて複数のボタンを組み合わせたメッセージを送信します。例えば、注文する商品の色やサイズの選択など、ユーザーは複数の選択肢から希望の項目を1つ選択します。
・確認テンプレート
「はい」「いいえ」などボタンが2つ含まれたシンプルなメッセージを送信します。それぞれのボタンにアクションを設定可能なので、ユーザーの応答に合わせて適切なアクションへ誘導しましょう。
・カルーセルテンプレート
複数のオブジェクトを横スクロールで表示します。ボタンテンプレートと同様に、画像やタイトル、テキストに加えて複数のボタンを設置でき、各ボタンにはアクションを1つずつ設定できます。
・画像カルーセルテンプレート
複数の画像を横スクロールで表示します。商品カタログなどとしての利用に有効です。
Flex Messageは、CSSのレイアウト手法である「CSS Flexible Box(CSS Flexbox)」の基礎知識を利用することでレイアウトを自由にカスタマイズするメッセージです。詳しくは、LINE Developersドキュメント『Flex Messageを送信する』をご確認ください。
参照:LINE Developersドキュメント『メッセージタイプ』 参照:LINE for Businessコラム『LINEで「チャットボット」!事例企業に学ぶ活用方法』
カードローンやキャッシングに関する消費者金融会社のアイフルのLINE公式アカウントです。企業キャラクターの「ぽっぽくん」がユーザーからの相談やお問い合わせに回答する形となっていて、ボタンテンプレートやカルーセルテンプレートを活用してユーザーのお問い合わせに答えたり、求められている情報を発信したりしています。
郵便局のLINE公式アカウントで、こちらもアイフルと同様に企業キャラクターの「ぽすくま」がユーザーのお問い合わせに対応する形となっています。リッチメニューから「再配達の申込み」などを選択すると、アクションとしてユーザーからテキストが送信され、そのテキストに合わせてアカウント側から自動的にメッセージが送信されます。そこからチャットボットを利用したコミュニケーションが開始され、ユーザーは簡単なやりとりを行うだけでスムーズに目的のアクションを完了させることができます。
チャットボットの導入は最初はハードルが高いと感じるかもしれませんが、LINE公式アカウント管理画面から簡単に作成でき、対応コスト削減や業務効率の向上、ユーザーの満足度向上といったメリットが期待できます。チャットボットを活用して、ユーザーとのコミュニケーションの質を高めていきましょう。
また、LINEマーケティングの成果をさらに高めるために効果的なLINE広告については、以下の記事で詳しく解説していますのでご確認ください。
LINE公式アカウントの運用ポイントについて、さらに知りたい方はこちらをご確認ください。初期設定方法や友だちを増やすための施策、メッセージ配信やリッチメニュー作成のコツまで、詳しくご紹介しています。 ~これからのLINE公式アカウント運用のポイント~
松崎 明日香
マーケティング部
2020年に新卒入社後、オウンドメディア『GrowthSeed』の運営/ライティングを中心に、メルマガ運用、広告運用など自社のマーケティング業務に幅広く携わる。お問い合わせ数・売上アップを目標に日々奮闘中。趣味は喫茶店・カレー屋巡り。
【2022年最新】Instagramアルゴリズムを詳しく解説!事例や運用ポイントもご紹介
企業Instagramのイラスト・漫画投稿アイデア!ブランドイメージを分かりやすく伝えよう
これを見れば解決!Instagramキャンペーン徹底解説
Instagramガイドラインに沿った効果的なキャンペーン方法
SNSキャンペーンを成功に導くポイントと事例10選
「マイクロインフルエンサー」の強みと活用ポイント、事例を徹底解説!
【2022年7月更新】SNSの利用者数とユーザー属性や特徴まとめ
【2022年最新】Facebook広告の出し方徹底マニュアル
企業向けFacebookページ(ビジネスアカウント)の作成方法と運用のポイント
LINE公式アカウントのリッチメニューを徹底解説!作成方法から活用テクニックまで
【業界別】2022年企業のYouTubeチャンネル活用事例まとめ
TikTok企業アカウントの作り方と参考にすべき5つの会社を紹介
Pinterest(ピンタレスト)ビジネスアカウントと個人アカウントの違い・メリット・作り方を徹底解説
あなたのUGC施策は大丈夫?Meta社から新しいコミュニティフィードバックポリシーを開始すると発表
「TikTok売れ」が起きる理由は?どんな商品が売れるか┃成功事例
【Instagram最新情報】Instagramのプロフィール上に投稿やリールを固定(ピン留め)できるようになった!?活用方法も紹介
Webマーケティングにお困りの際は お気軽にご相談ください