2016年04月19日
旅行などで初めて訪れる場所を観光するとき、多くの人が「どこに行こうかな?」という気持ちから「地名+観光」というキーワードなどで、観光地を検索するのではないでしょうか。 例えば「東京 観光」と検索すると、東京の名所が写真付きの一覧で検索結果に表示され、「東京観光のおすすめスポット46か所」といったページが自然検索結果の上位に表示されます。
一見すると検索ニーズに合っている検索結果のように思えますが、名所の一覧が表示される形は、その人にとって本当にニーズに合った検索結果だと言えるのでしょうか? 今回は「東京 観光」という検索キーワードをピックアップして、いまの検索結果が最良の検索体験と言えるのか、考察してみましょう。
目次
「東京 観光」というキーワードで検索するユーザーは、「東京の観光地が知りたい」というニーズを持っているだろうことは容易に想像できます。 ただ、このキーワードの組み合わせだけでは、子供連れのファミリーで観光に行くのか大人だけで観光に行くのか、見学できる場所を探しているのか遊べる場所を探しているのかなど、検索ユーザーが本当に知りたいことまでは分かりません。 そこで、「東京 観光」のサジェストキーワードを見てみると、検索数の多いキーワードにはある傾向が見えてきます。
「おすすめ」「ランキング」「名所」などの検索は、東京の観光地がよく分からないから調べていることが考えられます。 筆者も20年以上東京に住んでいる地方出身者ですが、「東京で観光する」となるとどんな場所がいいのかあまり知りません。 そのため、筆者のようなユーザーがこのようなキーワードで検索をする場合「東京に住んでいるけどちょっと遊びに行きたいから調べている」ということも考えられます。 「一人」「女子」「デート」「外国人」などの複合検索は、より検索者のニーズが分かりやすいキーワードだと言えるでしょう。 女性だけで観光する場合とデートの場合では、観光に最適な場所も変わってくるはずなので、それぞれの状況に合わせた結果を知りたいというニーズが見えてきます。 「一人」というキーワードは、なんだか世相を表しているようで興味深いですね……。
いまGoogleが返す検索結果では、あらゆる情報が網羅されている一覧形式のページが上位に表示されています。「東京 観光 一人」という検索キーワードであれば、「東京一人旅のおすすめ観光スポット40選」といった感じのページです。
このような「ランキング」や「おすすめのスポット情報」の一覧が、検索ニーズに対するベストアンサーなのか?というと、決してベストアンサーではありません。 50か所もの観光スポットをピックアップして紹介してくれるコンテンツは、それはそれでいいのですが、今度は「どこに行こうか」と迷ってしまいます。 また、観光スポットの場所も新宿にあったり上野にあったりとバラバラなので、50か所の中からいくつか行きたい場所を選んでも、今度は「どの順番で行くのがいいのかな?」など、別の疑問が生まれてしまいます。 知りたい事があって検索したはずなのに、別の疑問が生まれてしまっては、いい検索体験だとは言えません。
では、観光名所の一覧コンテンツではなく、どんなコンテンツであれば、ユーザーは便利と感じやすくなるのでしょうか? 例えば、観光をする人は遊びたいのか?デートで行く場所を探しているのか?どんなスポットに興味があるのか?という切り口で、モデルコースを紹介するコンテンツはどうでしょうか? 東京メトロとぐるなびが共同で運営している「レッツエンジョイ」には、「東京満喫モデルコース」というコンテンツがあります。http://days.enjoytokyo.jp/course/01.html
同じ切り口で、「夜景を楽しむ東京デートのモデルコース」、「一人でのんびり東京を観光するときにおすすめのモデルコース」といったようなコンテンツが検索結果に表示されたら、「東京で観光デートをしたいユーザー」や、「東京を一人で観光したいユーザー」にとって便利なコンテンツと言えるのではないでしょうか。 特に、東京に初めて訪れるユーザーにとっては、とても役立つコンテンツだと思います。
少しSEOのテクニカルなお話をしますと、情報が複数ページに分散したコンテンツよりも、たくさんの観光スポットを1ページに集約して掲載する「網羅性の高い」コンテンツの方が上位表示しやすいと言えます。 そのため、モデルコースを複数掲載するといった「情報を小分けにしたページ」をたくさん作ってしまうと、どれも検索結果で上位表示ができないのでは?と考える方がいるかもしれません。 しかし、様々なモデルコースのページをきちんと階層化して作れば、「東京 観光 デート」「東京 観光 一人」といった、ニーズの大きなキーワードでも上位表示できるはずです。 例えば、ページを以下のように階層化するとしてみましょう。
第2階層の「デート」のページは「東京 観光 デート」のキーワードを狙い、第1階層の「東京観光」のページで「東京 観光」のキーワードを狙っていきます。この「ページの階層化」はできていないWebサイトが、思った以上に多い印象があります。 もう一度、自社サイトのコンテンツが狙っているキーワードで階層化できているかどうか、確認してほしいポイントです。
Googleの役割は「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにする」こと。 整理する情報が、ユーザーの目的、ユーザーが本当に欲しい情報から微妙にずれてしまっていても、Googleにそれを修正する術はありません。
検索エンジンでの検索体験を良くしていくことは、Googleなどの検索エンジンだけの仕事ではありません。 まず情報を発信する側自身が「ユーザーファースト」であることが第一。 現在の検索結果に表示されるサイトを見て、それに倣ったコンテンツを作るという視点も大切ですが、検索エンジンが返すコンテンツが、常に最良の検索体験をもたらしているとは限りません。 検索するユーザーのコンテキスト(背景)まで深く入り込んで、コンテンツを作成することこそが、最良の検索体験を生むのではないでしょうか。
※この記事は、フルスピードが運営する[探す]を楽しむメディア「サチラボ」にて公開した記事を加筆修正したものです。
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