Googleの検索エンジン×AI「Search Generative Experience(SGE)」とは?
SGEの導入による検索流入の変化やGoogleの意図を考察!現状できる対策はあるのか?
- Google検索結果
公開日:2023年11月02日
最終更新日:2024年06月03日
SGE(Search Generative Experience)とは、Google検索に生成系AIを導入したものです。
2023年8月30日から日本国内で Google 検索の新機能としてSGE の日本語版の試験運用を開始し、現在も「Search Labs」という試験的なプログラムの設定内の項目をオンにすることで利用できます。しかし、Search LabsでのSGEの提供は2024年2月と記載されており、その後、正式機能として導入される可能性があります。
※現状ではいつ、どのような形で導入されるのか、そもそも導入されるのか不明確な状況です。
本記事では、SGEによりWebサイトの検索流入やSEO対策にどのような影響があるのか考察した記事になります。
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目次
SGEのおさらい
SGEはクエリに沿った回答を自動生成AIがGoogle検索結果に表示する機能
SGEはGoogle検索に生成系AIが組み合わさったもので、クエリに沿った回答をAIが生成してくれます。
例えば、Googleで「マーケティングを勉強する方法」と検索すると、検索画面の上部にマーケティングを勉強する方法をいくつも提案してくれます。この生成された回答は様々なWebページから情報を収集・抽出し、生成してくれます。
SGEを利用した際の検索結果表示画面(2023年11月現在)
クエリに対する回答は左側に、抽出してきた情報元のWebページは右側に、
ユーザーがさらに調べたいと予想される質問一覧が下部に表示されています。
一般的な検索結果のランキングは生成された回答の下に表示され、広告枠に関しては現状テスト中のため、ユーザーによって掲載位置が異なります。
SGE検索結果が本導入された場合のユーザー行動の変化を考察
もし、SGEがSERP(検索結果)上部に表示される形で、本格的に導入し浸透していけば、SGEが目立つ位置に表示されるため、ほとんどのユーザーの検索行動に大きな影響を与えます。
もちろん、ユーザーの検索行動はクエリやユーザー意図によって大きく異なるため、必ずしも下記現象が起きるとは限らないです。その上で参考にしてください。
想定1:Webサイトに流入するユーザーが大幅に減少する可能性がある
まず、クエリやユーザー意図によって大きく異なりますが、ユーザーはSGEの一次回答を得られた場合、検索完了し、そもそもWebサイトに訪問しない可能性があります。
例えば、SEOを外注したく、SEO会社の選定の仕方について知りたい場合、「SEO会社 選び方」と検索するケースが考えられます。この際、SEO会社を選ぶ上で大事なポイントを様々なWebページから抽出しているため、ある程度正確な回答が瞬時に出てきます。そのため、これらの回答で満足する可能性が出てきます。さらに、追加の質問で「大手SEO業者は?」「SEOの費用はいくら?」などの質問も可能で、こちらも瞬時に回答が得られます。その結果、ユーザーは検索結果上のリンクを見て、回答が得られそうなサイトを探す手間が省け、検索結果上からWebページに流入するユーザーが減少する可能性があります。
想定2:検索結果上のリンクではなく、SGE内に表示されているWebページに流入する可能性がある
SGEには、回答を生成する上で参照したWebページを右上に表示しています。ユーザーはSGEが生成した回答の中で気になる部分があった場合、その情報元である右上のWebページに遷移する可能性があります。
もちろん、SGEの下に表示されている検索結果上のリンクから、気になる部分を探す可能性もあります。しかし、ファーストビューに表示されている右上の参照元のWebページ一覧は、それまでの検索結果1位のWebページのリンクと同程度のクリック率がある可能性があります。
以上のケースが考えられますが、現状のSGEはクエリ次第では求めている回答を生成できないケースもあるため、クエリによっては大きな変化がない可能性もあります。
ユーザーからのSGEの評判は良好!導入の可能性は高いのでは?
Googleの調査によると、SGEの導入によって以下のような反応が得られているそうです。
(以下引用記事の翻訳内容)
SGEはより複雑なクエリやまったく新しいタイプの質問をサポートするために使用していることが調査でわかりました。また、若いユーザー (18 ~ 24 歳) の間で最も高い満足度スコアが得られており、会話形式でフォローアップの質問ができるのが楽しいと述べています。引用元:検索における生成 AI を世界中のより多くの人々に提供から抜粋
この抜粋を見る限り、ユーザーから一定の満足度は得られており、SGEを検索結果内に導入をしていく可能性は高いと思われます。
GoogleはWebサイトへの流入数を継続的に増加させる方法を模索しながら導入されると予想
今ではどのユーザーも「Googleで検索すれば欲しい情報が見つかる」と思い、Googleは検索エンジンのシェアのトップに君臨するわけですが、これはサイト運営者が情報発信に注力し、Web上に沢山の良質な情報が掲載されるようになったからです。
ではなぜ、サイト運営者は情報発信に注力していったのでしょうか。それは以下のような良いスパイラルが起きたからです。
- サイト運営者はビジネスや利益目的でWebサイトの流入数や閲覧数を獲得したいと考える
- 流入数や閲覧数を獲得するために、ユーザーが求めている、鮮度が高い、わかりやすいなどの質の高い情報を発信する
- ユーザーにとって有益なWebサイトだと、検索結果に上位表示され、Webサイトの流入数・閲覧数を獲得できる
- サイト運営者はさらに流入数・閲覧数を獲得するため、ユーザーにとって有益な情報を発信する
- 結果、良質なWebサイトが増え、Web上に沢山の良質な情報が掲載されるようになる
もし、仮に前章の想定の1つであるSGE導入により、Webサイトの流入数・閲覧数が減ったらどうなるでしょうか。Webサイトの流入数・閲覧数が減るとサイト運営者が得られるメリットや利益が減っていきます。そうすると、運営者はサイトの優先度が下がり、更新や情報発信の頻度が減っていき、良質なサイトが減っていきます。結果、SGEは質の高くないWebサイトの情報を学習し、質の悪い回答を生成するという負のスパイラルに落ちていく可能性があります。
そのため、Googleは、SGEの導入とWebサイトへの流入について以下のように言及しており、Webサイトへの流入数が今まで通り獲得できるように進めているそうです。
(以下引用記事の翻訳内容)
検索における生成 AI はまだ実験段階であることに注意することが重要であり、関連する Web サイトへのトラフィックを継続的に増加させるアプローチを優先しながら、結果を表示しフィードバックに耳を傾けるさまざまな方法のテストを継続していきます。引用元:検索における生成 AI を世界中のより多くの人々に提供から抜粋
サイト運営者がSGE導入に向けてできる対策とは?
ユーザーにとっては検索キーワードに対する簡単な答えがSERPから簡単に得られるようになると利便性が高まる反面、サイト運営者にとっては流入数・集客力が下がり悩ましい限りです。まだ、GoogleがどのようにSGEを導入するのかは定かではありませんが、現状、以下のような施策がSGEの生成コンテンツに引用される可能性を高める方法と思われます。
オリジナルコンテンツ・一次情報の発信
引用元としての採用確率を高めるためには、他のサイトでは言及されていないようなオリジナルコンテンツ・一次情報が重要と考えられます。
オリジナルコンテンツ・一次情報とは具体的に以下のようなものが挙げられます。
- 自らの体験談や経験則などを取り入れたコンテンツ
- 独自の調査や分析で得られた情報を含むコンテンツ
- 特定のテーマについての見解や考察を含むコンテンツ
客観的事実や第三者の発信を扱うことはできても自らの体験談や経験則のコンテンツを生成することはできないです。
また独自の調査や分析で得られた情報は生成AIに引用される可能性が高くなり、SGEの参照元に表示される可能性が増えます。
ちなみに、下記Googleのガイドラインにも記載があるように、オリジナルコンテンツはGoogleに評価されるポイントであり、SEO向上に繋がります。そのため、Webページにオリジナルコンテンツを盛り込むのはSGE対策だけでなく、SEO対策にもなります。
オリジナルで有用なコンテンツを持つ高品質なサイトが、より上位に表示されるようになります。
E-E-A-Tを意識してコンテンツを作成
E-E-A-Tとはコンテンツの品質評価指標で「経験」、「専門性」、「権威性」、「信頼性」の4つの要素で成り立っています。
クエリがYMYL領域の場合、SGEの生成は慎重に行われ、生成されない又は免責事項の注意書きが入ります。そのため、YMYLに関するコンテンツをSGEに引用してもらうには「E-E-A-T」を重視したコンテンツを作成する必要があります。
Google は、新しい生成 AI 技術を活用した検索体験を導入するにあたり、責任ある慎重なアプローチをとっています。生成 AI と LLM には既知の制限があり、検索が常に正しく機能するとは限りません。
FAQコンテンツの作成
SGEは検索クエリをもとに回答をAIで生成するため、FAQコンテンツと高い親和性があると思われます。
特に、以下のような検索クエリはFAQコンテンツにしやすいです。
- ○○とは?
- ○○のやり方?○○の方法?
- おすすめの○○は?○○はどれがいいのか?
そのため、Webページ内にFAQコンテンツを作成し、構造化データマークアップすることで、検索エンジンに認識できるカタチで文字情報が「何を意味するのか」を認識できるようになり、FAQコンテンツを入れていることを的確に伝えることができます。
まとめ:やるべきことは変わらず、オリジナル要素とE-E-A-Tを意識してコンテンツを作成しよう
前章でお話した通り、SGE対策で考えられる施策は以下の通りです。
- オリジナルコンテンツ・一次情報の発信
- E-E-A-Tを意識してコンテンツを作成
- FAQコンテンツの作成
上記の施策はSGE対策だけでなくSEO対策において同様に有効な施策です。さらに、ここ直近、ヘルプフルコンテンツアップデートやコアアップデートの傾向から「オリジナルコンテンツ・一次情報の発信」、「E-E-A-Tを意識してコンテンツを作成」がSEOにおいても重要な施策であることは明らかです。
まだ、現状そのような形でSGEが導入されるかわからない以上、今後のSGEの動向に目を向けつつ、SGE対策とSEO対策ともに重要な施策である「オリジナルコンテンツ・一次情報の発信」、「E-E-A-Tを意識してコンテンツを作成」を行っていきましょう。
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伊藤 康貴
マーケティング部
2018年Web広告会社に入社、比較メディアやSEOのコンサルティング営業に従事。3年間で200社以上の企業様の集客に携わる。 より集客の見識を深めるために2021年フルスピード入社。 オウンドメディア『GrowthSeed』の運営/ライティング、メルマガ運用、広告運用など自社のマーケティング業務を担当している。
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