公開日:2020年12月03日
最終更新日:2021年02月12日
BtoB企業における自社のサイトは、問い合わせや資料請求など新規顧客開拓に繋がる重要なツールであるとも言えます。しかし、サイトを運営してはいるものの、全く成果が出ていない、リード(見込み顧客)獲得数が伸びないといった状況に陥っている企業も多いことでしょう。そんな企業は、まずサイトの課題を明確にし、課題を改善するという当たり前のフローを丁寧に実行してみないといけません。 今回は、サイト課題の発見・分析方法から、サイトの具体的な改善方法(自然検索経由で成果を伸ばす方法を例にとります)までをご説明します。
目次
まず、「そもそも自社サイトの課題すらわからない」という方のために、BtoB企業のサイトによくある課題について挙げてみます。
Google Analyticsの「チャネル」(流入経路がわかる指標)を見たときに、「Organic Search(自然検索)」からのアクセスがどのくらいありますか? 自然検索からの流入が少ない場合は、ユーザーに自社のサービスを知ってもらうきっかけとなるコンテンツを作れていないのかもしれません。自然検索での流入増加を成功させ、継続的にユーザーが訪れる状況を作りましょう。
集客目線でのコンテンツは潜在層へのアプローチとなるケースが多く、サービスのアピールにつなげにくいこともあります。それとは別に成果に結びつきやすいコンテンツ、サービスの理解を促し、購入の後押しをしてくれるようなコンテンツが必要となります。商品やサービスの仕様をただ載せていただけでは、充実したコンテンツを持った他社のサイトに見込み顧客が流れてしまいます。
サイト公開から年数が経ってコンテンツが増えるほど、導線設計は甘くなってしまいます。ユーザーがスムーズに回遊できるよう、導線設計を含めたUI/UXに取り組みたいものです。
サイトの改善に進む前にまず、自社のサイトがどのような問題を抱えているのか把握しましょう。ただし、サイトの見た目の良し悪しや自分で検索したときの結果、申し込みや問い合わせのメールが最近多いか少ないか程度の情報をまとめるだけでは前に進みません。 実態がどうなっているのか、数字で確認します。
GoogleのSearch Consoleを利用すれば、サイトにどのようなキーワードで検索してきたユーザーが多いのかを確認できます。1位で検索結果に表示されているキーワードにはどんなものがあるかといった確認もできます。検索上位を達成しているキーワードが極端に少なかったり、見当違いのキーワードで上位に上がっているようなキーワードが多い場合には改善の余地があると言えるでしょう。 Search Consoleでは、モバイルフレンドリーテストやPageSpeed Insightsといった機能も利用でき、Googleにとって(あるいはユーザーにとって)サイトが望ましい形になっているかを確認できる手段としても使えます。
直帰率が高かったり、離脱率の高いページがある場合はそのサイトの導線が悪い場合があります。現状を知るにはGoogle Analyticsのデータを確認します。特に、「ランディングページ」「離脱率」「流入元」はユーザーがどのようにしてサイトに来て、どうして離れてしまったのかを探るうえで重要な指標です。コンバージョン前に離脱率が高いページはユーザーにとって回遊がしづらくなっていることを示します。課題となっているページを確認してみましょう。
例えばAhrefsというツールを使えば、自サイトのキーワードの順位やアクセス数がわかるだけでなく、被リンクの数や内容、競合サイトの情報も確認できます。競合サイトと比べてみれば、自サイトの課題が自然にわかってくることも多いものです。
課題が明らかになったら、サイト改善に移りましょう。ここでは、自然検索経由で成果を伸ばすという目的を元にしたサイト改善を例にします。
そのサイトのターゲットとなるユーザーが、「どのような情報をどんなときに求めているか」を把握しましょう。ターゲットユーザーを明確にする方法としては「ペルソナ」と「カスタマージャーニーマップ」の作成が挙げられます。
まず、お客様のペルソナ(架空の人物像)を作成し、「誰に対して提供するサービスなのか」を明確にします。
ペルソナは以下の流れで作成していきます。
顧客データ、統計データ、Webサイト解析ツールからデモグラフィック(年齢、収入、職業)やジオグラフィック(住居あるいは勤務地域)を抽出し、ターゲットとなるユーザーの情報を集めていきます。
アンケート、ユーザーインタビュー、営業からのヒアリングなどからサイコグラフィック(行動、購買動機)を確認し、数値だけではわからない、ユーザーの認知の経緯から決断に至るまでの行動や出来事を確認します。
ここまでのデータをもとに、ペルソナになりうる人物像についてプロジェクトメンバーでディスカッションを行い構築します。
市場やユーザー環境、事業など状況は常に変化しています。その変化に合わせ、ペルソナもここまでと同じ要領で定期的に見直しをしていきます。 ペルソナを作成するときに気を付けたいこと 自分たちの理想の顧客となるペルソナを作成するのではなく、事実に基づいたペルソナを作ることが重要です。各施策の基点となるペルソナが、実際には存在しないような都合のいいペルソナになると、ミスリードになり、施策が失敗に終わります。また、施策を展開するときは、ペルソナ、カスタマージャーニーマップを起点にし、常に立ち返って施策が正しいかどうか判断することも重要です。
ペルソナが完成したら、次はカスタマージャーニーマップを作成します。 先ほどのペルソナが、
どのようにしてサービスを認知し どのようなことを考えながら どのような行動をとっているのか
これらをまとめたものがカスタマージャーニーマップです。 カスタマージャーニーマップを作成することで、ユーザーがその時々に求めている情報の違いに目を向けることができ、自社メディアに不足している情報、不足しているがゆえ、他社に流れてしまっている可能性があるフェースなどを発見できます。
カスタマージャーニーマップの作成方法
「ペルソナ」や「カスタマージャーニーマップ」を作りターゲットユーザーを明確にする理由として、運用するプロジェクトメンバーの意思統一があります。 「誰のために、何を、なぜやるのか」をプロジェクトメンバー全員が共通で持っていなかったら、個々の判断基準が曖昧になり、どのようにそれを行うのか思考することができなくなる可能性があります。全ての施策が一貫した戦略であるからこそ、成果への掛け算が成り立ちます。
自然検索での流入が著しく少なかったり、自然検索での流入があるのに離脱率や直帰率の高いページは、キーワードの設定が合っていないことが考えられます。その場合はコンテンツのキーワードの分析・選定をしていきます。
ペルソナ、カスタマージャーニーマップをもとに、KPIを達成するためにはどのキーワードで対策するべきか考察します。その際、「検索数が多いキーワード(ビッグワード)を優先してアプローチをするもの」、「検索数は少ないが、狙える検索クエリ数が多いキーワード群(ロングテール)でアプローチ」を振り分けるようにします。 ロングテールキーワードは比較的早期の上位表示達成を狙いやすいですが、上位表示が難しいビッグワードも軸として対策していくことが長期的対策につながります。先ほどの「カスタマージャーニーマップ」を用いて、ユーザーが各プロセスにおける行動や思考から、どのようなキーワードで検索を行うかを抽出していきます。
検索上位にあるサイトを調べ、そのキーワードでの対策が現実的かを検討します。強い競合サイトが上位を占めていたとしても、切り口を変えて勝負できないかも考えてみましょう。 競合サイトにはない、ユーザーが必要とするだろう有益な情報が発信できるのであれば勝ち目はあります。ただしその価値が競合サイトの方が上だとはっきりわかる状態であれば、上位表示を狙える可能性は低いです。
施策によって、どのくらいの期間でどの程度セッションを増やすかの目標を決めます。事業目的から分解し、いつまでにどれだけのセッションが必要かのKPIを立て、どれだけのコストと工数をかけられるかを検討しつつ、検索ボリュームを元に施策展開するキーワードを絞り込んでいきます。
自然検索経由でリード(見込み顧客)を獲得するためには、「準顕在層、顕在層のユーザーが求めている情報を書く」ことが重要です。 例えば、「勤怠管理システム」を取り扱っている企業の場合、「勤怠管理システムを導入したいがどこがいいかわからない」「そもそも勤怠管理はどの範囲までを指すのだろう」と悩んでいるユーザーに対して役立つ記事を展開し、検索したユーザーを引き込むためのものになります。記事を読んでユーザーの理解を深めてもらうことは、リードの育成にもつながることです。ユーザーの課題を解決しつつ、自社の商品・サービスに興味を持ってもらえるようなゴールを設定するのが理想です。
キーワードの設定については、「SEOにおけるキーワード設定を見直す」の項を参考にしてください。そうしてキーワードを設定したら、記事として展開するコンテンツを決めていきましょう。
作成するコンテンツのタイトルや構成、キーワード、ターゲットなどを記したコンテンツマップを作成しましょう。
コンテンツマップをもとに、SEOを意識して、選定したキーワードに沿った文章や独自性・専門性のある文章を作成します。
記事を公開(アップロード)して、アクセスの経過を見守ります。検索結果からのアクセスが得られるまでには時間がかかりますが、数か月経っても思うような結果が得られない場合は見直しも必要です。
比較・検討段階にあるユーザーの購入意欲を向上させるコンテンツのことを「訴求コンテンツ」と呼びます。例えば、サービスの特長や利用すべき根拠、利用イメージを伝え、「試してみたくなる」「相談したくなる」「買いたくなる」ようにユーザーの心を動かすコンテンツです。
前提として、ユーザーはサービスや商品の良さを理解できていないことの方が多く、サービスに納得ができないと興味がなくなってしまいます。特にBtoBの場合、社内で他のメンバーに導入について相談したり決裁を仰いだりする必要があり、その良さや信頼性が説明できそうにないとなれば、検討をあきらめ他社のサービスを探してしまう可能性もあります。そこで役立つのがこの訴求コンテンツです。
コンテンツのクオリティが低いと、サービスへの印象も悪くなります。クオリティチェックを行いましょう。読了後にとってほしい行動まで意識して作るのが大事です。 作成したコンテンツは、メルマガ、SNSなどでの展開も有効です。露出をどんどん増やしてみましょう。
ユーザーがサイトの閲覧を開始したページから、ユーザーの目的へたどり着くための導線を最適化させます。ユーザーはその時の状況において欲しい情報は変わります。欲しい情報のすぐ先にある情報をより自然な形でリンクとして提示することで、サイト内でユーザーを育てることができます。
サイトの運営者や制作者であれば、どのページのどの場所に何のコンテンツがあるか把握していますが、ユーザーは知らずにサイトに訪れ情報を探します。もしそのサイトで、必要となるコンテンツが見つけられなかった場合、情報収集や検討を中断し、サイトを離脱をしてしまう可能性が高まります。
リンクが一目見てユーザーが認知できないデザインの場合、クリックやタップがされません。それが押せるとわかるようなラベルの明確化、押せる領域、色にも注意が必要になります。
サイトでのラベルとは、「メニューなどのカテゴリ名称」「リンクやボタンなどの名称」 を指します。このラベルは、ユーザーの行動を決定づける重要な役割を担っています。 ユーザーがわからない単語などを使用すれば、その先を理解できず、リンクをクリック(タップ)することができません。
プロジェクトメンバーの自分たちでは、いくら見直しをしても課題に気づけないこともあります。その場合、新しく入られた方や他部署の方、実際のユーザーにWebサイトを見てもらい、わからないワードを聞くことで調査を進めます。
フォームはサイトにおける成果(CV)地点であり、ユーザーに作業をお願いする場所でもあります。ここでユーザーがわかりづらい、めんどくさいと感じるようでは成果の直前で離脱する可能性があります。
ユーザーに考えさせたり、迷わせたり、敬遠されたりするフォームには、このような問題があります。
フォームの見直しは、自分たちで実際に入力して検証していくこともできますが、確実なのは実際のユーザーにユーザビリティテストを行ったり、フォームのユーザービリティに知見がある人にレビューをもらうことです。 そうすることで、作り手側にとっては理解できて当然のことも、実際のユーザーには手間に感じたり、わかりづらくなっているポイントだったことに気づくことができます。
日々業務に携わっていると、ユーザー目線を持つことが難しくなるので、フラットな目線をもって取り組むことが重要です。
これらのポイントを改善していくことで、自然検索経由でのユーザーを集め、育成し、リード獲得につなげることができます。そうすることでサイトは営業ツールのように稼働し、投資したリソース以上の成果が期待できます。とはいえ、リソース不足やスキル不足などの問題の解決はなかなか難しいものです。時間がとれない、ノウハウを用いて効果をしっかり上げていきたい、という場合はぜひ一度株式会社フルスピードまでご相談ください。
GrowthSeed編集部
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