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【オウンドメディア探訪】ローム株式会社「Device Plus」に見る、オウンドメディアのターゲットユーザー設定
- オウンドメディア
- コンテンツ制作
公開日:2016年05月06日
最終更新日:2024年06月03日
前回の、自社でも真似したい!オウンドメディアの事例でみる、コンテンツ制作3つのポイントでは、幾つかのオウンドメディアを取り上げて、自社のオウンドメディアでも真似したいポイントをご紹介してきました。
今回は、電子部品メーカーであるローム株式会社が運営するオウンドメディア「Device Plus(デバプラ)」にスポットを当てて、オウンドメディアのターゲットユーザーの設定について考えてみたいと思います。
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目次
「Device Plus」運営元のローム株式会社について
ローム株式会社は、京都に本社を置くカスタムLSIを主力とする電子部品のメーカー。LSIとは、特定の機能を持たせるために、半導体などで構成された電子回路を一つにまとめた「集積回路」のことです。
製品上にロゴの表示をしたり、広告したりすることがほとんどないため、一般には知名度は高くありませんが、日本のカスタムLSI市場でトップのシェアを持っている企業です。まさに「縁の下の力持ち」という感じの企業。
今回取り上げるオウンドメディアは、そんなローム株式会社が運営している「Device Plus」というメディアです。
メディアの目的とターゲットユーザー
ローム株式会社の主力製品は、LSIを顧客の要望に合わせてカスタマイズして製品化するカスタムLSI。顧客も当然、個人ではなく法人のはずです。
デバプラについて(http://deviceplus.jp/about/)のページでも書かれていますが、このメディアのターゲットユーザーは、エンジニア及びエンジニアを目指す人たち。そのため、メディアの目的は問い合わせや受注を直接的に獲得することではなく、ブランディングや求人への波及効果などを目的としているものと思われます。
メディアそのものは、個人をターゲットにしている事もあってか、デザインもカラフルなメニューがあったり、ページ上部に戻るボタンに漫画のキャラクターが使われていたりと、ポップな印象です。
しかし、実際に記事を見てもらうと分かりますが、記事の内容はポップな見た目とは逆に、超専門的。メディアの目的、ターゲットユーザーから考えれば当たり前なのですが、一般人にはまったく理解できない内容です。
ですが、専門的な製品を主力としている企業のオウンドメディアが、下手に一般人も取り込もうと考えて中途半端な内容になってしまうよりも、専門性の高い記事を揃える方がいいのは当たり前です。
この辺りを間違ってしまっているメディアも少なくないので、ターゲットユーザーとメディアの目的がぶれないように運営することが大切だということを改めて感じます。
万人受けしなくても届く人に届けばいいという考え方
果たして、DevicePlusの記事を読んで、どれだけの人がいいなと思えるでしょうか。
個人的な意見ですが、100人のうち1人か2人いれば良い方なのではないかと思います。
しかし、100人のうち1人か2人でも、その人に届けばそれでいい。
中途半端に万人受けを狙った記事も無いので、そんな風に割り切ってメディアを運営されているように感じます。
そして、その100人のうちの1人が筆者でした(笑)
Device Plusの記事をいろいろと読んでいくうちに、Raspberry Piというボードを使った電子工作の記事に行き着いて、完全に心を奪われてしまいました!
Raspberry Piとは、Linuxをインストールして、いろんなものを作ってしまおうというシンプルなコンピュータ。元々コンピュータには興味があったものの、電子工作なんかは入門用のキットを購入した事はもちろん、興味すらありませんでしたので、こんなものがあることも、いま初めて知りました。
しかし、Device Plusの記事を読んですぐに、Raspberry Piを購入(まだ届いていないので実際に触っていませんが…)。
筆者は少し極端な例かもしれません。しかし、記事を読んだ人に行動を起こさせる、オウンドメディアが持っている力を、改めて自らの体験で感じることになりました。
なぜ私はすぐにRaspberry Piを購入したのか?
自分でも不思議なのですが、なぜ私はこれほどまでに、すぐ行動を起こしたのでしょうか?自己分析してみました。
1.全く分からない女子が勉強しながらPaspbery Piに挑戦するというシナリオがあった事
「女子」がナビゲーター役というのは大きなポイント。女性の「柔らかさ」や「しなやかさ」といったイメージが、専門性の高い記事のハードルを少しだけ低くして、感情移入しやすくなっていると感じます。
2.専門性の高さと記事量の豊富さ
1本1本の記事の専門性の高さはもちろん、Raspberry Piに関する記事が豊富にあったので、これなら私にもできそうな気がすると思えました。このWebサイトの情報が支えになってくれそう、という安心感を持てるのが大きなポイントだと思います。
3.ダウンロードコンテンツが作り込まれている安心感
ダウンロードコンテンツがしっかり作りこまれている事も後押しになりました。私がダウンロードしたコンテンツは、「DevicePlus 電子工作マニュアル~Raspberry Piを活用してみよう(初級編)~」ですが、当然中級編や上級編も無料でダウンロードできます。
その中身も適当に作られたものではなく、このまま書籍化しても良さそうなレベル。
これだけのクオリティでコンテンツを作れるのであれば……という安心感を感じました。
自分の行動を振り返って改めて思うことは、たとえ100人のうち1人か2人しか興味を示さなかったとしても、その興味を示してくれた人が、深く共感できるようなコンテンツを作り込むことの大切さです。
広く浅くではなく、狭く深くコンテンツが作り込まれているからこそ、私はすぐに行動を起こしたのではないか?そう思います。
「多くの人に」ではなく、「ターゲットユーザーの心」に届く事が大切
今回オウンドメディアの紹介をしようと、いろいろと調べていた結果、Device Plusに行き着いたのですが、そうでもなければこのメディアの存在やRaspberry Piの存在も知らないままだったかもしれません。
オウンドメディアの運営では、どうメディアへの入り口を作っていくのか、どうやってメディアの露出を高めるのかが、一番の関心事になる場合があります。
どれだけ多くの人に読んでもらうのかも大切です。
大切だとは思うのですが、読んでもらいたい人に読んでもらい、読んでくれた人たちの「心に」届くという事が一番重要であって、多くの人に読んでもらうことは、実はそれほど重要なことではないのかもしれません。
このメディアに触れたことで、何かに気づき、自分でもやってみようと思える人が一人でも増えればいい。どれだけPVが増えても、そういう人の心に届かないのでは意味がない。今回、Device Plusにはそう言った「原点」を改めて教えてもらったような気がしています。
コンテンツを読んで欲しい人は誰なのか、その人の心にちゃんと届く記事が書けているのか、「ターゲットユーザーを設定する」なんて言う言葉だけではなく、もう一度見直してみる必要があるかもしれません。
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