スカスカな原稿はこうして生まれる(誤字脱字、伝えたいことが不明瞭など)
ワードサラダじゃない! ロボット時代到来で質の高い文書自動生成が可能になる!?
- ライティング
公開日:2014年07月10日
最終更新日:2021年02月12日
文書自動生成ツールによりネット上の文章を解析し自動で作り上げられ、人間が読むと意味不明なテキストのことをワードサラダと呼びます。例えば「朝にペットボトルをしました。力強い洗濯機を楽しむのが野球となります」といったものです。
SEOの外部対策サイトで使う文章として一時期蔓延しましたが、質の低いコンテンツを排除するパンダ・アップデートの影響もあり、ワードサラダという言葉自体が死語となりつつあります。
しかし自動文章作成システムが、一部のスパマーによる手ではなく、超優秀な研究者たちにより精巧に作られたとしたらどうでしょう。スパムかどうか判別が難しいというレベルを超え、ユーザーにとって価値あるコンテンツを生み出す可能性すらあります。
人工知能はこの20年で飛躍的な進歩を遂げるかもしれない
インターネットという革命がひと段落した今、ロボットや人工知能(AI)は今一番注目されている分野といえます。Googleは2014年に入って7社もロボット関連企業を買収しています。日本の政府も2014年6月24日に発表した日本再興戦略の改訂版において、ロボット革命ともいえる戦略を掲げ、2020年までにロボット市場を製造分野で現在の2倍、非製造分野で20倍に拡大する方針を打ち出しました。
人とコミュニケーションをとるロボットも非製造分野に含まれるわけですが、その実現には、人の話す言葉を理解するというAIの進歩が当然必須となってきます。言葉を理解できるようになれば文書自動生成も可能になるだろうと考えるのは自然でしょう。
大手メディアでもすでにロボット記者が活躍中
つい先日API通信が、オートメイテド・インサイツ(Automated Insights)社が提供する文章の自動作成技術を、決算発表記事において導入することになったことが明らかにされました。そう、今もロボット記者というのは存在するのです。
これが最初というわけでもなく、2012年にもフォーブスがナラティヴ・サイエンス(Narrative Science)社の技術を利用し、同じく決算内容を元にした記事などの投稿を始めています。
ただのデータの寄せ集め記事かと思われるかもしれませんが、テンプレートにただ穴埋めするわけではなく、原稿の切り口を決めてから文章が書かれ、人間の書いたものとほとんど見分けがつかないものとなるそうです。
しかもデータの処理能力は人間以上で、スピード性と正確性の求められる決算発表記事においては自動で作成するメリットが大きくあるのです。早く必要な情報が手に入るため、読者にとっても有益です。これはワードサラダとは大きく異なります。
ロボットにも書ける記事と、書けない記事
ロボット記者が今後さらに増えるとすると、ライターもうかうかしてはいられません。このまま様々な分野でIT化が進むと20年後には50%の職業が失われるという、英オックスフォード大学からのレポートも存在します。
とはいえ、やはり言語の理解というのはかなりの難題であるようで、2021年までに東大合格を目指すという「東ロボくん」(センター模試において、全国404の大学でA判定という得点をたたきだしている)も、今は国語と英語が苦手分野だそうです。
では少なくとも近い将来の内にはロボット記者には負けないだろうという、人間らしいライターとしての能力とは何でしょうか。例えば以下のように、空気を読んだり、自己を発現するようなものはロボットにとって苦手と思われます。
・取材、インタビュー記事
人と対面して情報を引き出すタイプの記事。前述したナラティブ・サイエンス社のCEOも、インタビュー記事の自動作成は将来もできないと言っているようです。
・意見、主張のある記事
自分の考えや意見を述べるタイプの記事。ロボットが自己主張を始めたら大変なことになります。
・笑いや感動を誘う記事
読んで心を動かされるタイプの記事。感情のないロボットが書いた記事に人間が大笑いする図というのは想像が難しいです。
遠い将来の話にまでなると、コミュニケーションロボットが私たちより的確な質問をインタビュイーに投げかけることができるようになるかもしれませんし、何万もの性格や文献を分析し、ロボットなりの主張もできるようになるかもしれません。笑いについても「ギャップ」「嘘」「勘違い」「突拍子のなさ」といった笑いが生じる可能性のある要素と、これまでの会話や感情に関するデータベースを組み合わせることによって可能な気もしてきます。
原稿をロボットのライターが書くなんてけしからんと思うのではなく、どうしたらワードサラダにならない文書自動生成が可能だろうと考えてみるのもいいでしょう。ライティング技術について新しい発見があるかもしれませんし、純粋に楽しくもあります。
少なくとも今のところは、人間が蓄積していったデータを元にしてという話。自分で触れ、考え、行動し、ひらめき、発明し、想像して書いた文章というのは、技術的特異点(機械が人間の知能を凌駕する地点)にでも到達しない限り、AIには創出できない価値を提供することができます。
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