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【ソーシャルリスニング調査レポート】「マイナンバー制度」に関する口コミ投稿の解析
- SNS分析
- ソーシャルリスニング
- 独自調査
公開日:2015年11月05日
最終更新日:2024年08月08日
今回は、2015年10月よりスタートした「マイナンバー制度」について、調査をしてみました。
マイナンバー制度は「国民一人一人に番号を割り当てることで、税金や福祉における公正化と各種手続きの効率化を図る制度」とされています。
マイナンバー制度 公式サイト
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/
マイナンバー制度については、施行前からWeb上でもさまざまな情報が発信されていますが、これらを見ていくうちに、次の3点が気になってきました。
- どれくらいの情報量がネット上で発信されているか?
- ネット上ではどう評価されているのか?
- ユーザの関心は何か?
そこで、ソーシャルリスニング(※)を行い、どのような結果になったか分析をしてみました。
(※)ソーシャルリスニングとは:
Web、特にブログや掲示板、snsなどソーシャルメディアに投稿された内容を調べ、定量と定性、双方の分析を行うこと。今回は専用ツールを用いて収集した結果を元に、Excelでグラフを作成しています。
目次
「1.どれくらいの情報量がネット上で発信されているか?」の集計結果
今回はブログ、ニュース、掲示板、Facebook(全体公開投稿のみ)を元に、「マイナンバー」の単語を含むデータを収集しています。
※Twitterや他SNSは除く。
※データの取得期間は2015年3月1日~2015年9月30日まで。
全体の投稿量グラフ:3月、6月、9月に投稿量が増加
3月の時点ではどのメディアも投稿量が少なく、大きな話題にはなりづらかったようです。
しかし、掲示板では既にピークができており、この時点でマイナンバーについて関心がある方は、母数としては少ないながらも早期に意見交換を行っていたと見られます。
6月に、マイナンバーに関する投稿が多い理由は?
次に6月ですが、ここではブログが最も多く、次いで掲示板、ニュース、Facebookと続きます。
6月はどのメディアも投稿量が増加していますが、以下のようなトピックスがあったためと考えられます。
この時期、年金機構の流出問題が報道され、それに影響する形でマイナンバー制度の法整備自体も延期すると報道されました。
ニュース媒体での露出が増えたことにより、ニュースを読む側が、マイナンバー制度の運用が開始される前から抱いていた「情報流出の不安」が年金機構の流出問題と重なり、投稿が活発化したのではないかと見られます。
そのため、炎上に近い形でマイナンバー制度のリスクがクローズアップされてしまったと見られます。
9月は、マイナンバー発行直前の駆け込み発信や相談が増えたことが要因?
そして9月は、導入時期が近づいてきたこともあり、ニュースの報道量が非常に増加しています。
これに連動するかのようにブログ、掲示板、Facebookでの投稿量も増加し、過去半年間で最も投稿量が多い状況となりました。
「2.ネット上ではどう評価されているのか?」の集計結果
どの時期を解析してもネガティブなコメントが多い、というのが率直な感想です。
3月から9月の7ヶ月間、ニュースを除いて他のメディアではネガティブコメントが50%を上回る状況が続いています。
さらに、投稿文に頻出する単語を拾うことで、具体的なポジティブ要素とネガティブ要素が見えてきました。
◎ポジティブ要素
・税収管理がしやすくなる
・セキュリティの研修、管理システムの開発などのビジネスが生まれる
・各種手続きが簡素になる
×ネガティブ要素
・「情報漏えい」の不安
・各種企業の対応コスト
全体感として「メリットは理解できるが不安が大きい」といった傾向が見られます。
どのような不安が強いのか
国全体での制度変更のため、その影響は多岐にわたります。
ソーシャルリスニングで集めた共起語(※)の情報からは、企業単位のもの、個人のものと推測される不安が現れています。
(※)共起語とは:
ソーシャルリスニングなどで、特定のキーワードと「共に想起される(書かれている)」単語のこと。
たとえば、「リンゴ」であれば「リンゴ-果物」「リンゴ-食べる」などが共に書かれることがあり得ますが、その組み合わせを共起語と呼びます。
企業:マイナンバー制度への対応準備
・研修やシステム導入のコスト、スケジュール
・情報漏えいのリスク管理・サービス、業種ごとの対応変更
……など
個人:情報漏えいや詐欺
・生涯変えられない番号が漏えいする不安
・副収入も管理される噂の不安
・マイナンバーの紐づけ方の不安
・マイナンバー制度を悪用した詐欺への不安
……など
「3.ユーザの関心は何か?」の集計結果
企業と個人では関心の方向性が違うため、個人の関心に近い単語、企業としての関心に近い単語を分類することにしました。
■個人の関心にあたると考えられる単語:「ブログ」と「掲示板」で分析
「税、個人、漏えい、使う、カード、控除、扶養、所得」など
■企業の関心にあたると考えられる単語:「Facebook」で分析
「セミナー、研修、開催、運用、対策、サービス、導入、セキュリティ」など
※Facebook投稿の収集は全体投稿のみに限られるため、個人の関心分析においては、Facebookを除外し、「ブログ」と「掲示板」に絞っています。一方で、企業はブログでの情報発信が現在ではFacebookページに置き換わっていること、掲示板で企業の身を明かして投稿する可能性が薄いという見込みから、分析対象を「Facebook」に絞っています。
これを踏まえた上で、各媒体の共起語上位20件の推移を観察してみます。
どのような結果になっていくのでしょうか?
まずは個人の関心にフォーカスした結果をご覧ください。
個人:ブログ、掲示板の投稿で分析
個人の関心について、まずは「ブログ」から見てみることにしました。
ブログ:「カード」を含んだ共起語が増加
ブログ投稿の推移では、「カード」「始まる」を含む共起語が増加しています。
「個人」「使う」を含む共起語も多く、個人単位の情報が中心と見られます。
6月の年金機構による情報流出のニュースが報じれられたあとでは、「カード+通知」「カード+掲示」と、個人での利用シーンをイメージする組み合わせが上位となり、投稿量も増加しています。
※「マイナンバー +活用、個人、カード、使う、始まる、記載」の共起語と、「カード+通知、番号、掲示」の共起語 を対象として黄色でマーク。なお、6月の情報流出に関連するニュースはオレンジでマークしています。
掲示板:マイナンバー制度を含めた、所得や福祉政策に対する投稿が多い
掲示板では、マイナンバーを含んだ共起語は少なく「介護保険料」「参議院」「政党助成金」など、複数の制度に関連する共起語が上位を占めていました。
共起語リストだけでは推測がしづらいため、頻出単語のランキングも見てみましょう。
こちらでは「税」「資産」「所得」「扶養」などのワードが多く、ブログで頻出していた「カード」は9月にようやく挙がっています。
掲示板においてはマイナンバー制度そのものに関する投稿よりも、現在から今後にかけて変化する各種制度が、所得や福祉にどう影響するか気にしている傾向が見られます。
個人の関心まとめ:
●「ブログ」ではマイナンバーの付与されたカードそのものに関心がある
●「掲示板」ではマイナンバーによる税金や所得の影響など、制度全般に関心がある
ブログの共起語推移では、マイナンバーの記載されたカードを意味する投稿が増え、「活用」「使う」などの単語も登場しています。
そのため、ブログを利用するユーザの関心は「マイナンバーの記載されたカードの使い方」について関心があると見られます。
掲示板ではマイナンバー制度だけでなく、現在の税金、福祉制度の情報全般に対して関心が高く、今後の制度導入で所得や福祉はどう変化するかに関心があると見られます。
続いては、企業視点でのマイナンバーにおける関心について見てみましょう。
企業(Facebook投稿)は、対策セミナーやサービス導入の投稿が顕著
Facebookでは「セミナー」や「サービス」「導入」を含む投稿が多く、マイナンバー制度の運用に関連したビジネスの投稿が多く見られます。
※ビジネス中心の投稿と見られる共起語を黄色、個人の投稿と見られる共起語はグリーンでマーク
頻出する単語ランキングの推移をみると「セキュリティ」「管理」「システム」の単語が多く、ビジネスに関する投稿のなかでも「情報漏えい対策」「マイナンバーと紐づけられる情報の管理」が主と見られます。
マイナンバーについてソーシャルリスニングを行った結果のまとめ
今回のソーシャルリスニングでは、次の結果が得られました。
1:どれくらいの投稿量か……
- 6月の情報漏えいニュースをきっかけに各媒体の投稿が急増。
- 9月に投稿量がピークに。
2:どのような評価か……
- ネガティブ中心。要因は「情報漏えいの不安」。
- 3~5月よりも6~9月のネガティブ評価が多い。
3:ユーザの関心……
- 個人と企業の関心の違いが明らか。
- 個人はカードの使い方や所得への影響に関心を持つ傾向、企業はマイナンバーを含めた情報を管理する方法に関心が高いと見られる。
所感:分析を終えて
投稿量が急増したのは、マイナンバーが通知される直前の9月です。
そのため、制度が始まった10月以降は、より一層マイナンバー制度に関連した投稿が増えると考えられます。解析期間中はネガティブな評価が中心でしたが、ポジティブな評価を高めていくには、主な要因と考えられた「情報漏えいの不安」を和らげることが重要でしょう。
さらに、個人の関心が高い「カードの適切な利用」「所得の影響範囲」企業の関心が高い「情報管理」について、理解を深めるための施策が重要と考えます。
これらの関心をより深く、それぞれのニーズに掘り下げたサービスを提供や説明を行っていくことで、マイナンバー制度のネガティブなイメージが払拭されていくのではないでしょうか。
※この記事は、フルスピードが運営する[探す]を楽しむメディア「サチラボ」にて公開した記事を加筆修正したものです。
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