リスティング広告におけるキーワードのマッチタイプ解説ガイド
自社の商標キーワードが出稿される…。違法性と停止方法を解説
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- 検索キーワード
公開日:2021年03月10日
最終更新日:2024年06月03日
アフィリエイトのリスティング広告出稿条件で禁止キーワード(商標)を定めることができますが、そのキーワードにおいて競合他社の広告を見かけることがあると思います。
これに対して、Google・Yahoo!の規約違反に当たるのではないか、また商標権を取得している場合は違法性があるのではないかと気になっている担当者の方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では商標キーワードでのリスティング広告出稿の違法性や出稿停止の申請方法、競合他社への交渉の手順などを解説していきます。
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目次
商標キーワードとは?
商標キーワードとは、企業名や商品・サービス名、および店舗名などの固有名詞のことです。例えば「ABCシャンプー」という商品名や「123クリニック」という店舗名などが商標キーワードになるということです。
商標キーワードを検索するユーザーは、すでに商品やサービスを認知し、購入・成約を検討している状態にあるケースが多く、成果に繋がりやすいという特徴があります。
商標権とは?
商標権とは商品名や店舗名などを独占できる権利のことを意味します。
第三者の商標利用によるブランドイメージの低下、売上の減少といった不利益を被る可能性を回避するために、商標の権利を独占できる仕組みです。
商標を無断で使用した場合、仮に商標登録されていたと知らなかった場合でも、侵害行為に該当するため注意が必要です。
商標権侵害が確認されると、権利者は以下の民事的措置をとることができます。
- 差止請求
- 損害賠償請求
- 不当利益返還請求等
- 信用回復措置請求(新聞への謝罪広告の掲載など)
また故意に侵害行為を働くような悪質なケースでは、「10年以下の懲役、または1,000万円以下の罰金」という刑事罰が科せられることもあります。
商標キーワードでのリスティング広告出稿は違法なのか?
では本題に移りますが、結論から言えば、商標キーワードでのリスティング広告出稿は違法ではありません。しかし、商標が“広告文”に使用されている場合は違法行為にあたることがあります。
今回の論点を簡単にまとめると以下の通りです。
- 商標が“キーワード”として出稿されている場合は違法ではない
- 商標が“広告文”として出稿されている場合は違法になりうる
では、この両者にどのような違いが出てくるのかを本章で解説していきます。
商標がキーワードとして出稿されている場合
商標登録しているキーワードに、第三者がリスティング広告出稿する場合は違法行為ではありません。商標を使用しているわけではなく、あくまでも“商標キーワード”に出稿しているだけであれば商標権侵害に該当せず、法的な問題を問われることはありません。
またGoogleやYahoo!の掲載ポリシーを見てみると、両社ともに商標キーワードの出稿を制限の対象としていません。
キーワードとしての商標の使用については、Googleの調査や制限の対象となりません。
本申請で制限されるのは、検索広告の広告文での使用です。キーワードは、本申請による制限の対象外です。
出典:検索広告における商標使用制限について- Yahoo!マーケティングソリューション
つまり、商標登録しているキーワードでリスティング広告出稿されたとしても法的措置を講じることはもちん、媒体社であるGoogle・Yahoo!に出稿制限を申し立てることもできないということになります。
広告文として出稿されている場合
商標キーワードでのリスティング広告出稿に違法性はない一方で、広告文で商標が使用されていた場合は商標権侵害に該当する可能性があります。
例えば、自社でABCシャンプーという商標を所持していたとします。第三者が出稿しているリスティング広告の本文で「ABCシャンプーと比較してこちらのシャンプーの方がおすすめ」といったように、商標を無断で使用していた場合は、商標権侵害に抵触する可能性が高いです。
このように商標が広告文で使用されていることを確認できた場合は、商標権侵害としてGoogle・Yahoo!に使用制限申請をすることができます。
なぜ商標キーワードで出稿されてしまうのか
ではなぜ商標キーワードでの出稿がなされてしまうのかというと、購入・成約につながりやすいキーワードであることと、システム上の仕組みによる意図せぬ出稿という大きく2つの理由があります。
購入・成約につながりやすい
商標キーワードのように顕在層が検索するキーワードは、購買意欲の高いキーワードであり、プロモーションコストを抑えた成果の獲得が期待されます。そのため第三者が利益を求めて出稿するケースが多く見受けられます。
他にも、競合他社が自らの商品・サービスの認知度を向上させるために検索ボリュームのある商標キーワードに出稿するケースや、競合他社がライバル製品の妨害目的で出稿するという悪質な手法もあり、訴求方法次第では、自社ブランドに傷をつけられてしまうケースもあります。
しかし先にも説明しましたが、商標キーワードでのリスティング広告出稿は商標権侵害に当たらず、制限を設けることが難しいといえます。またアフィリエイトのリスティング広告出稿条件で禁止キーワードに設定していても、違法ではないため完全に抑えることは厳しいのが現実です。
意図せず出稿されるケースがある
一方で、商標キーワードで出稿する意図が競合他社になくても、実際には出稿されているというケースがあります。その原因は、出稿にあたってどのような条件で広告を表示するかを定める「マッチタイプ」の設定にあります。
マッチタイプの中には「部分一致」「絞り込み部分一致」「フレーズ一致」「完全一致」の4種類があり、「部分一致」を選択した際に、意図せぬ商標キーワードでの出稿がなされることがあります。
部分一致とは文字通りの部分一致ではなく、多少の言葉ゆれがある場合や、関連する語句に対しても広告が表示される設定を意味し、広告アカウントではデフォルトで設定されています。システムの自動認識により入稿時間を短縮しつつ、キーワードの拡張性が高いため予想しなかったクエリでの出稿も可能な点がメリットとして挙げられます。
例えば登録したキーワードが「男性 ファッション」なら「男性 ワイシャツ」「メンズ マフラー」のように、システムが意味合いが近しいと判断したキーワードで自動的に出稿が行われます。
逆に「ファッション」なら「UNIQLO」、「コンビニ」なら「セブンイレブン」といったように、一般名詞キーワードに出稿しても、商標キーワードの検索結果に広告が表示されてしまうこともあり、これが意図せぬ商標キーワードでの出稿の原因になります。
近年ではリスティング広告出稿の自動化が進み、関連キーワードを機械学習で入札する企業も増えているため、このような意図せぬ商標キーワード出稿が多く発生しているのも事実です。
商標キーワードでの出稿を止める方法
このように商標キーワードでの広告出稿は必ずしも違法とは言えず、悪質なケースもあれば意図しないケースもあります。では、自社商品・サービスのブランドを守るためにはどのように商標キーワードでの出稿を減らすことができるのでしょうか。解決策は大きく3つあります。
出稿している企業と紳士協定を結ぶ
商標キーワードでリスティング広告出稿を行うこと自体に違法性がないことと、Google・Yahoo!両社の規約違反にも当たらないため、基本的に企業間での解決が望ましいです。
商標キーワードに競合他社の広告が出稿されているのを発見したら、紳士協定(※)を申し込むと良いでしょう。
※紳士協定とは:書面などの契約を交わさずに行われる企業間での取り決めのこと。
メールまたは電話などの連絡手段を用いて、商標で検索した際に広告が表示されている旨を伝え、出稿を取り下げてもらいましょう。その際、フレーズ一致で削除して欲しいキーワードがあるのであれば、その一覧表を送ると同様のトラブルが今後発生しづらくなります。
媒体社に出稿停止を依頼する
先ほど触れたように、Google・Yahoo!は商標キーワードへの出稿に対して規制は設けていませんが、広告文で商標が使用されている場合は出稿停止の申請が可能です。広告文を確認し、商標権を有するキーワードが本文中に使用されていることを確認できたら、GoogleとYahoo!に使用制限申請を送りましょう。
Googleの場合
▼Googleに申請をするために必要な情報
- 連絡先情報(商標権所有者)
- 商標名と登録番号
- 商標権侵害をしている広告のURL(確認はこちらから)
必要な情報が揃ったら、「Google Adsの商標侵害の申し立てページにアクセスします。
①商標権所有者との関係:商標権を所持している場合は「私は商標登録に記載されている商標権所有者です」を、広告代理店などが申請する場合は「その他」を選択します。
②名前:商標権所有者の名前。代理店の場合は担当者名。
③会社:商標権を所有している企業の名前。代理店の場合は代理店名。
④住所:商標権を所有している企業の所在地。一致しない場合は「補足説明セクション」で理由を記載します。
⑤メールアドレス:連絡可能なメールアドレスを入力。(会社のウェブサイトとメールアドレスのドメインが一致している必要があります)
⑥メールアドレスの提供の同意:チェックボックスをクリック。
項目を埋めたら「次へ」をクリック。
①商標:侵害されている商標を入力。
②国:商標権を取得している国を選択。
③登録番号:商標登録番号を入力。
複数の商標権を侵害されている場合は「入力を追加」をクリック。入力が完了したら「次へ」を選択。
①対象となる広告主:申し立てする対象を指定するか、全てを対象にするか選ぶ。
※すべての広告主を選択すると自社の広告も対象になります。使用を許諾する広告主を入力することで、対象外になるので必ずIDか表示URLを入力しましょう。
②問題となっている広告:問題視している広告があれば記載する。(空欄でも可)
入力が完了したら「次へ」をクリック。
①補足:補足したい内容があれば直接打ち込むかファイルを添付できます。商標権所有者と申請者が違う場合はここで補足説明をしてください。
②誓約:2項目にチェックを入れてください。
全て埋めたら「プレビュー」をクリック。今まで入力した内容が表示されるので、間違ってなければ「送信」を押してください。これで、Googleへの商標権侵害の申し立ては完了です。申請が受理されれば数日中に規制が入ります。
Yahoo!の場合
▼Yahoo!に申請するために必要な情報
- 申立て者の本人確認ができる資料(法人の従業員の場合は名刺で結構です)
- 検索キーワードおよびリンク先URL(検索後の画面コピー)
- 商標登録証明書
- 当該広告主の如何なる行為が商標権侵害にあたるかの詳細な説明
- 当該広告主との交信・交渉の状況の記録、説明
Yahoo!広告の「商標権者による商標の使用制限の申請」にアクセス。
ビジネスIDを所持している場合はログインすることで入力を一部省略できます。なければ、下記を参考に入力を進めてください。
①申請者情報:添付する名刺と同じ情報を入力。
②商標権者の情報:申請者情報と一致している場合は省略可能。
①商標:使用を制限する商標を入力。
②商標登録番号:商標登録番号を入力。
複数の商標を申請する場合は「項目を追加」をクリック。
①書類添付:事前に用意した申請者の名刺を添付。
②商標登録原簿:商標登録証明書を添付。
③同意欄:4項目にチェックを入れてください。
全ての項目を埋めたら、「確認する」をクリック。すると、今まで入力した内容が表示されるので、問題がなければ申請完了です。無事に受理されれば商標キーワードの使用を制限できます。
ASPへ対応を依頼する
使用されているアフィリエイトリンクをもとに、不正出稿の停止を各ASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダ)に依頼します。不正出稿のエビデンスがあれば、修正依頼や提携解除などのコミュニケーションを一任することができるため、最も人的コストのかからない方法となります。
また各ASPとはリスティング広告出稿条件で禁止キーワード(商標)を設定するため、商標キーワードでの出稿を見つけた時点で相談することが可能です。不明点についても担当者へ相談できるため、まずはASPに連絡を入れてみるといいでしょう。
交渉用のエビデンスの見つけ方
出稿停止を求める交渉を行うにあたっては、サイト内のアフィリエイトリンクや出稿画面のキャプチャといった不正出稿のエビデンスを用意する必要があります。
エビデンスを見つける手段は主に以下の2つです。
- 目視によるパトロール
- 不正出稿監視ツールの活用
それぞれ解説していきます。
目視によるパトロール
自社の従業員が目視によって監視することで、不正出稿している広告を見つけ出す方法です。専門の知識などが必要なく、簡単に始めることができる方法ですが、商標キーワードに他社の広告が出稿されていないか、広告文に商標が使用されていないか逐一確認していく必要があります。
さらに、不正出稿は土日・深夜など、企業の営業時間を避けて行われることも多いため、発見が困難なケースもあります。一社の出稿停止対応を行っても他社が出稿する可能性があり、継続的な対応リソースが必要となってきます。
不正出稿監視ツールの活用
リスティングパトロールにあてる人的コストを低減するための解決策として、自動監視ツールの導入が挙げられます。
例えばASP「afb」の運営を行う株式会社フォーイットが提供するメディア監視ツール「パトリス」は、日中・夜間・休日すべての時間で不正出稿を検知することができます。
パトリスは指定したキーワードを監視し、パソコンとスマートフォンに不正出稿された広告を検知。出稿サイトのURLとアフィリエイトリンク、出稿画面のキャプチャを自動取得します。そのエビデンスをもとにafbが不正出稿媒体に注意勧告などを行ったうえで、広告主にその旨を報告します。
パトリスの導入によって監視・申請・交渉の3つのプロセスを省略することが可能となり、人的コスト削減に寄与します。
詳細に関しては以下からお問い合わせ可能です。
→パトリスについて問い合わせる
目的に応じて共存関係も視野に
商標キーワードで広告出稿がされていたとしても必ずしも違法性を問えなかったり、意図的に出稿していないケースもあるため、出稿されている側からするともどかしく動きづらい部分もあると思います。
一方で比較サイトやランキングサイトのように、自社とは違うアプローチで自社の成果に貢献してくれているサイトもあるでしょう。
そのため一概に商標キーワードでの出稿を悪と決めつけず、自社のブランドを守ること、また売り上げの最大化を目的とし、そうしたサイトとは共存関係を築いていくことも一つの選択肢として考えることも可能です。
出稿停止対応にはそれ相応のコストが必要になってくるため、目的に立ちかえって社としての判断をしていくことが大切です。
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